総務辞典

交渉術

勘違いの交渉がもたらすもの

勘違いされている交渉の一つに、良い条件だけを求めて一方的に相手を説き伏せたり、強い態度に出て相手を無理やり従わせるものがあります。しかしながら、それは「説得」や「強制」であり、「交渉」とはいえません。

たとえば、サプライヤーが示した100万円の提示額を「なぜ90万円にならないのですか。90万円でできるはずです。何とか、お願いしますよ」というような商談風景をよく見かけます。しかし、これは交渉ではなく、説得です。サプライヤーに対し大きなシェアを背景に「90万円にしなければ、契約を解除する」と優位な立場にものをいわせて相手を強制し、相手が渋々頷き条件をのめば得意になって上司に「取引成立」の報告をする。そんな事例は数多く存在します。

ひたすらお願いをする。相手を無理やり従わせる。そこに良好な関係性は成り立たず、憐れみや不満が存在します。今回は何とか取引が成立したとしても、次回は拒絶されるかもしれませんし、相手が百戦錬磨のサプライヤーであれば「下げられる」ことを見込んだ上で、最初から高い見積書を提示しているかもしれません。また、クオリティに問題が出てくるかもしれません。前述したように交渉とは「相手と信頼関係を構築した上で、ベストな取引条件を引き出せる」ことと考えれば、一方的な対応になる説得や強制は、相手に著しい不満を与えるものといわざるを得ません。

説得や強制は一方的な要求で、譲歩を無視したやり方です。

交渉においては、こちらが譲歩し、それと引き換えに相手からも譲歩を得ることが基本です。ギブ・アンド・テイクを常に考慮し、相手との信頼関係も築き上げていきながら、合意点に導いていかなければなりません。

(執筆: 株式会社プロレド・パートナーズ 代表パートナー 佐谷 進
/ 「月刊総務」2014年9月号より抜粋・編集)


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