パンデミック対策における法務問題:企業に求められる法務対策

最終更新日:2010年03月02日

パンデミック対策における法務問題:目次

原則論で言えば、企業はまず安全配慮義務を履行する必要があります。事業を継続するのであれば、感染リスクを排除した安全な環境を用意する必要があるのです。具体的には、その時点での科学的知見に基づき、適切な感染予防対策を用意し、適切な使用方法までを管理・教育するということです。

そのような環境を用意していれば、従業員には出社を命令することができますし、業務上の疾病による損害賠償のリスクも軽減させることが可能と思われます。

また、上記のような適切な感染予防対策や、パンデミックの社会的影響を考慮した事業継続計画を策定・実施している場合は、やむを得ず事業停止や契約不履行になったとしても不可抗力と見なされ、事業者の責に帰すべき事由ではないと判断される可能性があります。

その場合、顧客への契約不履行による損害賠償や、休業中の従業員への補償は軽減される可能性が高まります。

では、どこまでの対策を用意すれば、その時点での科学的知見に基づき適切と判断されるのかというと、残念ながら明確な基準は存在しません。事業者は、最新の動向を常にチェックしつつ、ステークホルダーが納得する対策を合理的に考えて策定するしかなく、非常にシビアな状況にあると言えます。

しかし、少なくとも厚生労働省が示すガイドラインに沿った対策を用意することが、あらゆる企業が社会に対して果たすべき責任ではないかと考えることができます。そのレベルの対策をも用意していない事業者については、有事の際には経営責任を追及される可能性があるということを肝に銘ずる必要があります。

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