パンデミック対策における法務問題:経営者の責任

最終更新日:2010年03月01日

上場企業であれば、J-SOX法(2008年4月より施行された金融商品取引法に記載された内部統制報告書の提出の義務記載部分)によってリスクマネジメント体制の構築が求められており、企業の内外におけるリスクを把握・特定し、発生時にはその被害を最小限に抑えることが求められています。新型インフルエンザについては、発生頻度と影響度の観点から評価すると極めて重大なリスクと言えるため、上場企業が適切な対策を策定することは社会的責務であると言っても過言ではないでしょう。

また、そもそも取締役と会社の関係は委任関係であり、取締役は会社に対して善管注意義務を負っています。経営者には、パンデミックに備えて、企業に損害が及ばぬように予め行動計画を策定し、準備する義務があるとも考えられます。

その結果、従業員や取引先に損害を与えた場合、企業が損害賠償責任を負担する可能性は否定できません。その場合、善管注意義務を怠った経営者は、企業に発生した損害について、賠償責任を問われる可能性があります。また、重過失があると判断されれば、取締役として対第三者責任を追及される可能性があります。

企業の法務担当者は、このようなリスクを経営者と共有し、新型インフルエンザ対策策定の動きを活性化する重要な責任を担います。

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