情報収集が危機管理の鍵 正確性と即時性を兼ね備えたサービス
今日の社会で企業を取り巻くリスクは、パンデミックに限らない。異常気象や地震、火事などリスク要因は多く、さらにグローバル化が進んだ今、遠い国で起きた災害が自社の事業に影響することも増えている。いざというときに重要なのは、情報収集の速さと正確性だ。
変わるリスク管理、コロナ禍で対応範囲がさらに拡大
代表取締役CEO 村上 建治郎さん
地震、火災、集中豪雨、土砂災害など、『危機』はいつどこで起きてもおかしくない。そして何かが起きたとき、もっとも重要なのは現状把握だ。情報は正確でなければいけないし、早ければ早いほど、打つ手を考える余裕ができる。東日本大震災から10年。企業の危機管理に対する意識も変わっているようだ。AI防災・危機管理ソリューション「Spectee Pro(スペクティプロ)」を提供している株式会社Spectee、代表取締役の村上建治郎さんは次のように話す。
「以前はBCPや防災といえば、建物の耐震や社員の安心・安全を考えていれば事足りました。しかし今や、仕入れ先や拠点となる工場、事業所が世界中に散らばっている時代です。何か起きたときに自社に影響するリスク要因が、昔とは比べ物にならないくらい多様になりました。国内だけ見ても、ここ数年は毎年のように夏は水害、冬は大雪と気候変動が原因とみられる災害が多発しています。この冬も大雪で道路がスタックして、仕入れ先から部品が届かず、工場での生産がストップしてしまう企業が複数ありました。こういう事態を起こさないためにも、企業の危機管理部門は、代替部品の調達プランを用意しておかなければなりません」
ただでさえリスク管理の負担が大きくなっていたわけだが、コロナ禍はこの状況に拍車をかけた。リモートワークで社員の所在地がさらに広範囲に及ぶことになったのだ。社員の安全や安否の確認が必要なのは、もはや自社ビル、工場、仕入れ先だけではない。災害時に把握すべき無数の拠点を、自社だけで管理するのは至難の業だ。
必要な情報を正確・迅速にAIが世界中の危機を可視化
村上さんが同社を設立したのは、東日本大震災がきっかけだった。発生直後から毎月ボランティアに参加していた村上さんは、東京で見聞きするニュースと現地のリアルに乖離を感じたという。被災地で今この瞬間に何を必要としているのかが、なかなか東京には伝わってこない。しかしそんな中でも一つだけ、リアルタイムで情報が更新され続ける媒体があった。SNSだ。
「ツイッターでは、どこでボランティアを募集している、どんな物資が不足している、といった情報が刻々と上がっていました。すばらしい即時性でした。そのとき、これらの膨大な情報をうまく整理して可視化できたら、もっと東北のリアルが伝わるのではないかと思ったのです」
そこで、同社が開発したのが「Spectee Pro」だ。SNSの災害等の情報を、AIを活用して収集・解析。どこで何が起きているのかを瞬時に把握し、顧客の必要な情報を迅速に配信・可視化する。加えて、24時間体制で人の目によるダブルチェックを行い、信頼性を担保した情報のみを顧客に提供する(図表❶)。
「誰もがスマホを持っている今日、津々浦々の情報がすぐに画像でアップされます。ただし、SNSは即時性には優れている半面、誤情報やデマも含まれています。活用するには情報の真偽を見定める必要がある。当社がお届けする情報は、AIが、過去に同じ写真が上がっているなどフェイクの可能性のあるものを弾き、さらに人間が、再度情報を確認。顧客にとって必要か、また正確な情報かどうかを精査します。おかげさまで『即時性』と『信頼性』の二つで高い評価をいただいています」
また、同社が掲げているスローガン「危機を可視化する」という言葉通り、Spectee Proを起動すれば、どこで、何が、いつ起きているのかが一目でわかるよう画面に表示されるのもありがたい(画像❶)。情報は地域や災害内容などで絞り込み、自由にカスタマイズすることが可能だ。登録したメールアドレスに情報を送ったり、画面を常時見ていなくても音声読み上げで情報の更新をお知らせするといった機能も搭載しているので、ほかの業務を行っているときでも、安心して必要な情報を受け取ることができる。
あらゆる企業が効果を実感、無料トライアルも実施中
当初は、個人の投稿をニュースで扱い始めた報道機関からの問い合わせが多かったが、今では、官公庁・地方自治体、交通機関、通信会社、メーカー、物流や商社など、あらゆる組織がSpectee Proを導入している。国内400社以上で選ばれ、ほとんど口コミで事業を拡大してきた。いち早く正確な状況を把握し、被害を最小限に抑えることに成功した企業が、次々に顧客を紹介していったからだ。
「お客さまの中には、製品に必要な部品を全国約3,000社から調達している企業もあります。以前は災害があるたびに1か所ずつ電話をかけ、供給が継続できるか確認していたそうですが、Spectee Proを導入後は情報が一元化され、迅速に代替計画の検討に入れるようになったそうです。また、建築業で施工中のすべての物件の場所を登録されているお客さまは、工事現場の周辺で何か起きたときの知らせがテレビより1、2時間早いと喜んでいただけました」
技術の進化は、即時性と正確性を加速させている。今ではツイッターだけでなく、フェイスブックやインスタグラムなどのSNSに加え、気象庁や公的機関の情報、道路交通情報、電力会社からの停電情報など、幅広いリソースを活用しているが、今後は、道路や河川に設置されたカメラや車両の走行データを基にした解析サービスが搭載される予定だ。河川の水位や積雪量を自動判定したり、土砂崩れなど何らかの理由で車が通れない道を割り出したりと、情報のきめ細かさと精度が、一段と上がることになる。
企業の経営陣はBCPに対して熱心だが、実際に担当する部署にとっては処理する情報が多過ぎるのが現実だ。信頼できるものだけが整理され、リアルタイムで届けられるサービスへの需要はますます高まるだろう。
Spectee Proはクラウド上ですべて完結する。ソフトのインストールなどが必要ない、インターネットにつながっているパソコンがあればすぐに使えるサービスだ。1か月の無料トライアル期間もあるので、BCPに課題を感じている企業の担当者は、情報に振り回されない安心感をぜひ体験していただきたい。
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