最終更新日:2022年03月04日
取締役会事務局の機能は、滞りなく取締役会を開催し、取締役会議事録を作成し、議事録を法定備置書類として保管することである。
取締役会の議題は、社長室や経営企画室で確定し、それを基に招集通知の草案を作成。決議事項は通常定款や取締役会規程で定められている。作成された招集通知を全取締役、全監査役(非常勤も含む)に配布。配布期限は、取締役会規程の招集通知の項に明記されている。それまでに配布する。配布しながら、開催日を確認してもらう。
開催日は、毎回、第4火曜日の午前10時、のように定型化しておくと認識されやすい。当日までに、議題に関する資料を紙または電子データで準備し、出席者に事前確認・検討させる。
当日は、事務局席にて臨席する。開会時間と各議題についての可否、その他、議事録に残すべき発言、そして閉会時間をメモしておき、終了後に取締役会議事録の草案を作成する。
招集通知
取締役会の招集通知の書式には、別段法的規定はない。いつ、どこで、どのような議題により開催されるかがが明確であれば、書式は自由である。
決議事項
会社法の規定も考慮した、一般的な取締役会における主要な決議事項の例は以下の通り。
1. 株主総会に関する事項
- 株主総会の招集
- 株主総会付議議案および報告事項の決定
- 基準日の設定および株主名簿の閉鎖の決定
- 社長に事故あるときにおける、株主総会の招集者と議長となるべき取締役の決定
2. 決算に関する事項
-
計算書類および附属明細書の承認
3. 経営に関する事項
- 経営基本計画の決定<
- 中・長期経営計画の決定
- 年間経営計画の決定
- 中・長期投資計画の決定
- 年間投資計画の決定
- 年間総合予算案の決定
- 新規事業および重要な社内プロジェクトの決定
- 関係会社の設立および経営権の取得
- 関係会社の重要な業務計画の決定
- 経営上重要な業務提携または他社との共同事業の決定
- 1件金○千万円以上の出資
- 経営上基本的に重要な契約の締結
- 経営に関する顧問または相談役の委嘱および解雇
4. 取締役に関する事項
- 代表取締役の選任、解任
- 役付取締役の選任、解任
- 取締役の担当業務の決定
- 取締役に対する使用人職務の委嘱および条件の決定
- 取締役会規程、その他取締役に関する重要な規程の制定、改廃
- 取締役の競業取引の承認
- 利益相反取引の承認
- 取締役の他会社役員、団体理事等への就任の承認
- 取締役報酬の配分の決定
- 取締役賞与の配分の決定
- 社長に事故あるときにおける、取締役会の招集者と議長となるべき取締役の決定
5. 株式に関する事項
- 公開会社における新株発行
- 譲渡制限株式についての譲渡の承認・不承認
- 株式取扱規程の制定、改廃
- 中間配当の決定
6. 組織・人事に関する事項
- 内部統制システムの整備に関する決定
- 特に重要な規程、規則の制定および重要な変更、改廃
- 課以上の組織の新設、改廃
- 本部、工場、営業所、支店、その他事業所の設置、移転、廃止
- 支配人を含む、課長およびこれに準ずる者以上の人事発令
- 要員計画および採用計画の決定
- 従業員の給与に関する基本方針の決定
- 従業員の賞与支給方針の決定
- 従業員の退職金(年金を含む)に関する基本方針の決定
7. 資産に関する事項
- 1件○千万円以上の資産の取得および処分
- 1件○千万円以上の資産の譲渡
- 1件○千万円(簿価)以上の資産の貸与もしくは用益権の設定
- 初年度の賃借料(権利金、敷金、保証金等を含む)またはリース料が1件○千万円を超える資産の賃借、用益権の設定またはリース
- 1件○千万円(簿価)以上の資産に対する担保権の設定
- 1件○千万円以上の請負工事の発注先の選定および契約条件の決定
8. 資金に関する事項
- 社債の発行
- 中・長期資金計画の決定
- 年間資金計画の決定
- 年間借入限度額の設定とこれを超える借入の承認
- 重要な取引銀行および取引金融機関の決定
- 1件金○千万円以上の他人の債務の保証
- 1件金○万円以上の債務の免除
- 1件金○万円以上有価証券の取得および処分
- 1件金○千万円以上の貸し付け
9. その他
- 経営上重要な訴訟の提起(上訴含む)または応訴、その解決方針および弁護士の選任とその報酬の決定
- 経営上重要な訴訟についての裁判の和解または訴えの取り下げ
- 経営上重要な紛争についての解決方針および示談の決定
- その他業務執行上重要または異例な事項
取締役会議事録
取締役会議事録に記載する事項は、取締役会の開催日、開催時間および開催場所。当該場所に存在しない取締役等が取締役会に出席をした場合はその方法(テレビ会議システム、Web会議システム等)、全取締役および全監査役の人数と当日出席した取締役および監査役の氏名、議長の氏名、上程された議題と審議内容および決議の結果等。会社法上では、議事録には、議事の経過の要領およびその結果を記載すれば良いとされているので、各出席者の発言を一言一句記載する必要はない。
議事録への押印
作成された取締役会議事録に、出席した取締役および監査役の署名または記名押印をもらう。署名とは、自らの手で氏名を書くことである一方、記名押印の場合は、氏名部分は本人自署でなくあらかじめ印刷等されたようなもので差し支えなく、そこに印鑑を押印してもらう。押印作業は、持ち回りでかまわない。議事録が2枚以上になる場合、別添資料が付く場合は、袋とじをして、裏に代表取締役の契印を押し、一体のものであるという証とする。
なお、取締役会の決議に参加した取締役で、取締役会議事録に異議をとどめない者は、その議事録の決議に賛成したものと推定される。
取締役会を開催したのにもかかわらず、正当な理由がないのに、議事録を作成していない、虚偽の記載・記録をした、作成しても備置していない場合等は、取締役等は100万円以下の過料に処せられる。
(監修者:弁護士法人堂島法律事務所 弁護士 安田 健一)
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