契約管理:リスク回避

最終更新日:2010年03月03日

契約を締結した場合、債権者の立場から、自らの権利をどのように保全し、相手方の債務不履行に対して、どのような対抗手段をとるか。また、債務者の立場から、契約を締結したことにより、その債務が明白であり、かつ妥当な場合、不幸にして債務不履行に立ち至った場合、過大な或いは不当なペナルティを負っていないかどうかを確認することが大変重要なポイントである。それには、契約書に記載される言葉とその意味の理解が必要となる。売買契約であれば、危険負担や担保責任を理解する必要がある。その他、履行遅滞・債務不能や不完全履行といった言葉についても理解し、それぞれの契約書において、どのようなことを指し示しているのか理解しておかなければならない。

●危険負担

契約上の危険負担とは、天変地変等の不可抗力や第三者の行為により、売買目的物に滅失・毀損が生じた際、この損害を売主、買主のどちらが負担するかの問題である。売主が負担する時は、売主は、買主に対し代金請求できず、買主が負担する時は、商品の引渡しがないにもかかわらず、売主へ商品の代金を支払わなければならない。契約時には、危険負担の移転時期について、予め明確に合意し、その合意内容に基づき、損害保険の付保を検討する必要がある。

●履行遅滞・履行不能

契約の履行遅滞及び履行不能とは以下の通りである。

(1) 履行遅滞・・・履行期に履行が可能であるのに履行しないこと。債務者に履行遅滞が生じた場合、原則として、債権者は相当期間を定めて履行を催告し、相当期間内になお履行されないときには契約を解除でき、損害賠償も請求できる。無催告解除の特約がある場合は、催告無しで契約が解除できる。

(2) 履行不能・・・債務者の故意・過失により契約締結後に履行が不能な状態。債務者に履行不能が生じた場合、債権者は解除権と損害賠償権を行使できる。催告は不必要。

●不完全履行

契約の不完全履行とは、履行期において債務の履行がなされるが、債務者の故意・過失により不完全である状態。追完が可能な場合はその催告をして、催告に応じて追完されれば契約の目的を達成できる。この場合、債権者は追完にあわせて、履行が遅滞したことによる損害や不完全な履行によって生じた損害の賠償を請求することができる。なお、催告に応じない場合は債権者は契約を解除でき、損害賠償を請求できる。追完が不可能な場合、債権者は催告無しに直ちに契約を解除することができ、損害賠償も請求できる。

●担保責任

担保責任とは、買主検査に合格し、引渡しを完了した後も、一定期間は品質不良や性能不完全などの瑕疵については、売主は買主に対して責任を負わなければならないこと。売買の目的物に隠れたる瑕疵があった場合には、買主はその瑕疵によって、契約を解除し、かつ損害賠償を請求できる。これを売主の買主に対する「瑕疵担保責任」という。

(執筆:『月刊総務』)

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