一般的にうつ病は気分の落ち込みといった精神症状だけでなく、身体的な症状が表れる。たとえば頭痛、睡眠障害、めまい、耳鳴り、肩凝り、食欲不振、腰痛などだ。うつ病患者の中には身体症状が前面に出て、精神症状が目立たないケースがある。このような例を身体症状にマスクされたうつ病という意味で、仮面うつ病という。
仮面うつ病の場合、患者も周囲も身体症状に注目してしまうため、根本にある心の問題に気付かないことが多い。そのため、患者は体の病気と考え内科などを受診し、治療が試みられることもあるが、そのような治療に当然効果はなく、患者が長く苦しまなければならなくなる。内科などで検査をしても原因がはっきりしない身体症状が長く続いたときには、うつ病も疑ってみる必要がある。
出展:『月刊総務』2011年5月号より