月刊総務プラス

『月刊総務』本誌記事:

総務パーソンが押さえておきたい10月のトピックス

2017-09-22 10:12

2017. October

■法務

執筆/小沢・秋山法律事務所 弁護士 香月裕爾

●外部委託における受任者の保護
 唐突ですが、筆者のような弁護士は、労働者ではありません。弁護士と法律事務所の契約関係が雇用ではなく委任だからです。それゆえ、労働基準法や労働契約法によって保護されることはなく、月350時間以上仕事をこなす剛の者もおりますし、所属事務所から即時契約を解除されることもあります。これは、外部委託における個人の受任者一般に当てはまります。個人がネット経由で仕事を受任して稼働する「クラウドソーシング」の増加により、このようなフリーランス(特定の勤務先に所属せず独立して稼働する個人や個人事業主)と呼ばれる個人は、わが国でも1,122万人に上るそうです。
 本年8月、公正取引委員会は厚生労働省とスポーツ庁に働きかけて研究会を立ち上げ、フリーランスの実態調査を開始しました。目的は、フリーランスの保護のために、公正取引委員会が所管する独占禁止法を適用することの是非を考えるためです。たとえば、企業がフリーランスに仕事を発注する条件として競合他社との取引を禁止することは、独占禁止法が禁止する「排他条件付取引」に該当する可能性があります。同じく、自社が発注しているフリーランスに仕事を発注しないよう、同業他社に求めることは、「取引妨害」に該当する可能性があります。
 公正取引委員会は、従来から独占禁止法の労働分野に対する適用に消極的でしたが、この研究会によって流れが変わるかもしれません。
 

■労務

執筆/斉藤社労士事務所 特定社労士 斉藤貴久

●改正育児・介護休業法10月1日施行
 育児・介護休業法が改正され、今年10月1日に施行されます。改正前は保育所に入れない場合等の理由による休業期間の延長は1歳6か月まででしたが、改正後はこの期間を2歳まで延長することが可能となります。このほかにも、努力義務ではあるものの、「育児休業等制度の個別周知」と「育児目的休暇の導入促進」が盛り込まれています。
 法改正に合わせて就業規則等を改定する場合には、厚生労働省からモデル規則が公表されていますので参考にするとよいでしょう。なお、規定例だけでなく労使協定や社内手続きに関する様式例についても、編集可能なワードファイルでダウンロードできますので、そのまま使用することが可能です。
 
●労働基準法の時効の見直し
 7月12日に開催された労働政策審議会労働条件分科会では、労働基準法の消滅時効の見直しが議論されました。今年6月2日に公布された改正民法は、一般債権の消滅時効を原則5年とすることを定めています。労働基準法は、民法の特別法とされていますので、改正民法に合わせて労働基準法の時効を変更することが検討されているようです。仮に、労働基準法が改正され賃金や年次有給休暇の時効が2年から5年になった場合には、相当大きな影響がありそうです。
 

■税務

執筆/税理士法人AKJパートナーズ

●役員に対するストックオプション費用について
 従前、役員に交付した税制非適格ストックオプションに係る株式報酬費用については、法人税法上、その全額を損金の額に算入することが認められていました。ただし、2017年度税制改正により、当該株式報酬費用のうち、「事前確定届出給与」または「業績連動給与」のいずれにも該当しないもの(一定の退職給与に該当するものを除く)は、損金の額に算入することが認められないこととされました。上記税制改正は、2017年10月1日以後に交付の決議(当該決議がない場合には、その交付)を行ったストックオプションから適用されます。
 
●特定医療法人について
 特定医療法人とは、持ち分の定めのない医療法人のうち、その事業が医療の普及および向上ならびに社会福祉への貢献等、公益の増進に著しく寄与しているとして一定の要件を満たし、かつ、国税庁長官の承認を受けた医療法人をいいます。2017年6月に、国税庁から「特定医療法人制度FAQ」が公表されており、申請承認手続き等、具体的な取り扱いが明らかにされています。特定医療法人の所得に対しては、法人税法上、軽減税率19%(年800万円以下の部分は15%)が適用されるため、特定医療法人の承認を受けた医療法人は、一般の医療法人に比して税負担が軽減されるメリットを享受することができます。
 
『月刊総務』2017年10月号P7より転載