目標設定や評価制度でドライバーの「当事者意識」育む 交通事故削減の工夫を表彰するアワード開催

月刊総務オンライン編集部
最終更新日:
2026年01月08日
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社用車を有する全ての企業を対象に、優れた交通事故削減の取り組みへ光を当てる「Safety Driving Award」。2024年から始まったこのアワードに、今回も多くのエントリーが集まった。好事例を共有すべく開催された授賞式「Safety Driving Forum 2025」の模様をリポートする。会場には前回の倍の参加者が足を運び、「事故なき未来」に向けた想いを共有した。

百花繚乱りょうらんのエントリー 目立つ運転データの活用

審査部門は前回同様、営業車・送迎車・自家配送車などが該当する「営業車部門」と、タクシー・バスなど旅客自動車およびトラックなどの貨物自動車が該当する「運送事業部門」の2つだ。エントリー社の取り組みは、交通事故削減の高い効果(実効性)、一過性ではなく確立された手法(再現性)、社内外に与える好影響(波及性)、事故削減の進化につながる新しい挑戦(先進性)という4つの基準で評価される。厳正な審査の結果、2回目のアワードは各部門で最優秀賞1社、優秀賞2社、特別賞1社が選出された。

図表:「Safety Driving Award 2025」受賞企業
営業車部門
最優秀賞 ヤマハ発動機株式会社
優秀賞 丸尾興商株式会社
日立グローバルライフソリューションズ株式会社
特別賞 ヤマダインフラテクノス株式会社
運送事業部門
最優秀賞 西部運輸株式会社
優秀賞 名阪急配株式会社
日本交通株式会社
特別賞 株式会社アトランシード

フォーラムは、独立行政法人自動車事故対策機構の島添勝博氏による「交通事故被害者の実態」に関する基調講演で幕を開けた。後遺症に苦しむ被害者のみならず、介護する家族の人生も深く傷つける事故の影響を、参加者一同が深く胸に刻む。続いて元京セラ株式会社副会長の森田直行氏が登壇、「稲盛経営とJALの事例」というテーマで特別講演を行った。奇跡といわれたJAL再建の鍵となったのは、稲盛経営の神髄である「全員参加経営」。一人ひとりが当事者意識を持ち、組織が一体となったとき、付加価値は最大化する。この当事者意識は、今回のアワードのキーワードでもあった。表彰された企業の事例はいずれも、ドライバーはもちろんのこと、全てのステークホルダーを巻き込んでいたのだ。

いよいよ表彰式。営業車部門の優秀賞を受賞したのは、丸尾興商株式会社と日立グローバルライフソリューションズ株式会社だ。

丸尾興商は、「ながら運転」撲滅の取り組みでエントリー。運転中の携帯電話使用を全面禁止し、社内ポータルを通じて社長が自ら呼びかけを行った。経営トップの力強いリーダーシップは、受賞理由の一つとなっている。現場では、「シゴト<イノチ」という標語を掲げ、ドライバーに周知すると同時に、取引先にも「電話に出られないことがある」という理解を得るため尽力した。安全運転意識を、社内のみならず社外にも伝播でんぱさせたのだ。

日立グローバルライフソリューションズの受賞は、その徹底した分析力にあった。AIドラレコのデータを精査した結果、事故発生には予兆があることをつかむ。たとえば、「車間距離」は有意な要因の一つだった。同社では、毎月AIドラレコのスコアが基準に満たなかった「レッドカード者」を抽出、早めに運転改善1 on 1を実施することで、レッドカード者を99%削減したほか、事故件数も大幅減少となった。

特別賞は、受賞には漏れたが画期的な取り組みを共有すべく新設された。初の受賞に輝いたのはヤマダインフラテクノス株式会社だ。安全教育施策において受け身の学習では効果が出ないと、体験型の安全運転支援システム(シミュレーター)を独自開発した。これにより事故防止の成果は上がり、さらに他社ドライバーや地域住民にも体験学習の機会を提供している。

交通事故ゼロに向け 業界を超えた情報共有

最優秀賞に選ばれたのは、ヤマハ発動機株式会社だった。創業の地にある浜北工場は、社内の模範として独自に「交通安全選手権」を開催。約800人の従業員を対象に、自家用車の通勤利用も含める交通安全活動を強化した。職場対抗で順位を競う仕掛けで、達成状況に応じてポイントが加算されるなど個人のモチベーション向上へも配慮がされている。効果的に社員を巻き込む盛り上げの演出・設計の巧みさで、総合評価No.1を獲得した。同工場は、加害事故件数を約6割も削減することに成功したという。県のドライバーコンテストでは上位の常連となり、地域の模範的な安全運転推進事業所として警察署から表彰を受けるなど周囲への影響も大きい。工場トップと現場が一丸となって知恵を出し合い、地域貢献にもつながる施策を練り上げた功績は、最優秀賞にふさわしい堂々たるものだ。

【営業車部門 最優秀賞/ヤマハ発動機株式会社】
【営業車部門 最優秀賞/ヤマハ発動機株式会社】
・独自の「交通安全選手権」による職場対抗の仕組みと評価制度で、安全意識の浸透と成果を両立
・加害事故の大幅削減や県内コンテスト上位、警察署からの表彰など、地域にも好影響を与える取り組みを実現

運送事業部門では、指導者育成に注力する名阪急配株式会社と、新卒タクシー乗務員にフォーカスした日本交通株式会社が優秀賞を、ドライバーの環境整備に着目した株式会社アトランシードが特別賞を獲得。他企業の手本となるWeb安全講習会の設計を評価された西部運輸株式会社が、最優秀賞に輝いた。

運転は一人の空間で行われるものゆえに、「当事者意識」が欠かせない。受賞者によるパネルディスカッションでは、ドライバーのモチベーションを維持するために職場単位で目標設定をしたり、AIドラレコのスコアを人事評価とひも付けたりと、各社の工夫が話題となった。どの受賞企業もデータ活用にけており、説得力ある安全運転施策につなげている。

パネルディスカッションのようす
パネルディスカッションのようす

この日、参加者同士は積極的に交流をはかり、「交通事故ゼロ」の輪が業界や地域を超えて広がっていくようすがまざまざと感じられた。情報共有の場というフォーラムの役割は、2年目にして早くも重みを増している。今年も、さらに多くの企業の参加が期待される。


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