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『月刊総務』本誌記事:

新型コロナウイルス感染症対策に伴う休業措置・助成金(2)

2020-05-08 09:25

パンデミック宣言に引き続き、緊急事態宣言まで発令された新型コロナウイルス感染症。小中学校等の休校に加え、大規模イベントの休止、店舗の運営自粛など、私たちの生活、経済に大きな影響が表れています。
実際、新型コロナウイルスの影響で、休業の必要があるとき、企業はどうすればいいのか。また、どのような救済措置があるのか。休業措置、助成金について解説していきます。

受給できる助成金

行政による支援策

 新型コロナウイルス感染症のため、事業規模を縮小せざるを得ない状況に陥り、経済的に困窮する企業・個人が日々増えています。国もこの事態に対応すべく、さまざまな支援策を打ち出しています。
 本稿では、現在公表されている助成金についてまとめました(原稿執筆4月17日時点のもの)。自社の状況と照らし合わせ、支給対象なのか確認していきましょう。

新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金(図表1)

 2020年2月27日-6月30日までの間に、新型コロナウイルス感染症に関する対応として、臨時休業等をした小学校等に通う子供、または新型コロナウイルスに感染した、または風邪症状など新型コロナウイルスに感染した恐れのある小学校等に通う子供の世話を保護者として行うことが必要となった労働者に対して、年次有給休暇とは別に全額支給の有給の休暇を取得させた事業主に対する助成金です。この有給の休暇について、就業規則などの改定は必須ではありません。
 助成額の上限は日額8330円で、3月31日までの分については、支給申請期間は2020年3月18日-9月30日までです(原則、法人単位で一度にまとめて申請)。
 対象となる労働者は雇用保険の被保険者に限らず、パートタイム労働者などの被保険者でない労働者も対象となります(支給申請様式は異なります)。
 対象となる有給の休暇の範囲は、図表1の通りです。条件付きで、事後的に振り替えた場合も対象とされていますので、チェックしておきましょう。
 2020年4月以降は同様の理由で委託を受けて個人で仕事をする人が契約した仕事ができなくなった場合の支援も追加されます。
 支給額は1日当たり4100円の定額。適用期間は、4月1日-6月30日までです。

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雇用調整助成金(図表2)

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 雇用調整助成金は、経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、労働者に対して一時的に休業、教育訓練または出向を行い、労働者の雇用の維持をはかった場合に、休業手当、賃金等の一部を助成します。
 今回、新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業主を対象に、4月1日-6月30日の緊急対応期間については特例措置が実施されています。主な基本的な要件は、次の通りです。


●雇用保険の適用事業主であること
●売上高または生産量などの事業活動を示す指標について、直近3か月間の月平均値が前年同期に比べて10%以上減少していること(特例で1か月、5%以上低下に拡大)
●雇用保険被保険者が対象(特例で被保険者でない労働者も対象に)
●6か月以上の被保険者期間が必要(特例で被保険者期間要件撤廃)
●助成率は中小企業が3分の2、大企業が2分の1(特例で中小企業は5分の4、解雇等を行わなければ10分の9。大企業は3分の2、解雇等を行わなければ4分の3)


 注意しなければならない点の一つとして、休業等規模要件があります。雇用調整助成金は雇用保険の適用事業所単位での申請となりますので、多店舗展開している場合も適用事業所が一つであれば、その単位での申請です。そして「一定以上の休業等をしていないと申請対象とならない」という要件が休業等規模要件となります。
 具体的には、従業員の1か月の所定労働時日数の40分の1(大企業は30分の1)以上の休業日数がないと、要件を満たさないというものです。


(1)被保険者数×1か月の所定労働日数
(2)休業させる従業員数×1か月で休業させる日数
【特例措置】
(2)÷(1)= 1/40(大企業の場合は1/30)以上


 算定方法はこのようになります。少しだけ休業させた場合は助成金申請の対象とならない可能性があるため注意が必要です。
 また、全体の流れとしては以下の通りとなります(特例措置で、【3】 を【4】のあとでも可能な期間が、1月24日-6月30日となっています)。
【1】事業縮小
 ↓
【2】労使協定の締結、休業の計画
 ↓
【3】計画届の届出
 ↓
【4】休業実施
 ↓
【5】支給申請
 ↓
【6】支給決定(支給or不支給)
 事後に計画届を出すことが可能なのは初回だけですので、事後分はまとめて提出するようにしましょう。

働き方改革推進支援助成金(テレワークコース・職場意識改善コース)

 新型コロナウイルスの感染拡大防止には、テレワーク導入や特別休暇の規程整備は急務です。そのため、既存のコースの要件を簡素化した上で、特例的なコースが設けられています。

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■対象事業主
 労働者災害補償保険の適用中小企業事業主であること。図表3のAまたはBの要件を満たす企業が中小企業になります。
【テレワークコース】
 新型コロナウイルス感染症対策としてテレワークを新規、または試行的に導入。
【職場意識改善コース】
 新型コロナウイルス感染症対策として休暇の取得促進に向けた環境整備に取り組む。

■助成の対象となる取り組み
【テレワークコース】
・テレワーク用通信機器※の導入・運用(例:VPN装置 、web会議用機器、社内のパソコンを遠隔操作するための機器、ソフトウエア、保守サポートの導入、クラウドサービスの導入、サテライトオフィス等の利用料 など)
・就業規則や労使協定等の作成・変更(例:テレワーク勤務に関する規定の整備)
・労務管理担当者に対する研修
・労働者に対する研修、周知・啓発
・外部専門家(社会保険労務士など)によるコンサルティング
【職場意識改善コース】
 支給対象の取り組みは、事業実施期間中であれば、交付決定前でも対象となります。
・就業規則や労使協定等の作成・変更
・労務管理担当者に対する研修
・労働者に対する研修
・外部専門家によるコンサルティング
・人材確保に向けた取り組み・労務管理用機器の導入・更新
・労働能率の増進に資する設備の導入・更新

■主な要件
【テレワークコース】
 事業実施期間中に助成対象の取り組みを行うこと、またテレワークを実施した労働者が1人以上いること。
【職場意識改善コース】
 事業実施期間中に新型コロナウイルスの対応として労働者が利用できる特別休暇の規定を整備すること。

■助成の対象となる事業の実施期間
2020年2月17日-5月31日

■支給額
【テレワークコース】
補助率:2分の1(1企業当たりの上限は100万円)
 経費は2月17日-5月31日までの支出であることが条件です。

【職場意識改善コース】
補助率:4分の3(上限額:50万円)
 事業規模30人以下かつ労働能率の増進に資する設備・機器等の経費が30万円を超える場合は、5分の4を助成します。

■申請期限
【テレワークコース】
交付申請:2020年5月29日
支給申請:2020年7月15日
【職場意識改善コース】
交付申請:2020年5月29日

まとめ

 新型コロナウイルス感染症を取り巻く環境は日々変化しています。常に最新情報が手に入れられるよう、行政のホームページ等をチェックすることが大切です。
 企業としては、助成金等を活用し、この局面を乗り切っていきましょう。

『月刊総務』2020年6月号P54-56より転載


エキップ社会保険労務士法人
代表社員 特定社会保険労務士濱田京子さん
企業労務に特化し、大企業から中小企業までの顧問先の人事・労務領域の課題解決に取り組んでいる。株式会社ゴルフダイジェスト・オンライン社外監査役、東京労働局あっせん委員でもあり、日々新しいことにも積極的にチャレンジしている。