総務のトピックス

【会計トピックス】:

FinTech(フィンテック)について

2017-07-31 12:00

 最近になり新聞記事等でフィンテックに関するサービスが取り上げられるようになってきました。しかし、言葉だけが一人歩きして具体的なイメージを思い浮かべるのはむずかしいのではないでしょうか?このため、本稿では、初歩的な理解のため、フィンテックとは何か?にはじまり、我が国で提供されているサービスを概観した後に、法や会計に及ぼしている影響について解説したいと思います。


フィンテックとは何か?

 もともとフィンテックという言葉は、シリコンバレーにおいて投資促進のためのマーケティング用語に過ぎませんでした。このため、フィンテックについて明確な定義はありませんが、経済産業省は「FinTechは、Finance(金融)とTechnology(技術)を掛け合わせた言葉である。あらゆるものをインターネットでつなげるIoT(Internet of Things)、膨大な情報(ビッグデータ)の処理・分析、AI(人工知能)、ブロックチェーン等といった先端技術を使い、爆発的に普及したスマートフォンやタブレット端末等を通じて、これまでにない革新的な金融サービスが生み出される動きを捉えようとする言葉だ。」と説明しています。

 フィンテックの具体的なイメージを持つため、現在、我が国で提供されているサービスを見てみましょう。


具体的なサービス

 現在、我が国では下記のようなフィンテック関連のサービスが提供されています。
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(注1)ロボアドバイザーとは、コンピュータプログラムが個々の投資家の志向に応じて、最適な運用資産の配分を提案するサービスのことです。

(注2)ビットコインとはインターネット上で用いうる仮想通貨です。仮想通貨は?電子的データの形態をとっていること?特定の主体の債務ではないこと?個別の主体間で価値が移転されることの特徴をもつと言われています。

(注3)テレマティクスとは、自動車などの移動する媒体に通信技術を組み合わせて、リアルタイムで情報とサービスを提供することです。


法や会計に及ぼしている影響

 2014年にビットコインの交換所である株式会社MTGOXが破産手続開始を受けました(破産手続開始時、約48億円の債務超過)。同社代表は2015年、業務上横領(ビットコイン売買のため顧客が預けた資金の着服等)等の容疑で逮捕されました。これを受け、我が国では2016年に資金決済法が改正され、仮想通貨と法定通貨の交換業者について登録制を導入し、利用者の信頼確保のため、利用者が預託した金銭・仮想通貨の分別管理等のルールを整備しました。また、マネーロンダリング・テロ資金供給対策として、口座開設時における本人確認等を義務付けました。利用者が預託した金銭・仮想通貨の分別管理等のルールでは、分別管理及び財務諸表について2017年4月1日の属する事業年度の翌事業年度(3月決算であれば、2019年3月期)から外部監査が義務付けられています。

 しかし、現行の会計基準には仮想通貨の会計処理に関する取扱いが存在していないため、「業者間の比較可能性が確保された財務諸表の作成が困難であること」が想定され、また、「当該財務諸表を対象とする監査を受嘱するにあたって監査人から懸念の声がきかれること」から、企業会計基準委員会は2017年7月から9月を目標に「仮想通貨に係わる会計上の取扱い」の草案の公開を目指しています。

 仮想通貨に係わる会計上の論点としては、次の項目が挙げられています。

(1)仮想通貨の期末評価
  仮想通貨について、その経済的性質を踏まえ、期末評価をどのように行うべきか?

(2)顧客からの預かり資産(仮想通貨)に関する会計処理
  顧客からの預かり資産(仮想通貨)を仮想通貨交換業者の貸借対照表上に計上すべきかどうか?

(3)仮想通貨交換業者の損益計算書上の表示
  仮想通貨交換業者が仮想通貨販売所において仮想通貨を販売する場合に、仮想通貨交換業者の損益計算書上において仮想通貨の取引に係わる損益を「総額で売上高に表示すべきか」あるいは、「純額で売上高に表示すべきか」?


最後に

 我が国は他国に比較して経済規模の割には、フィンテックに対する投資が少ない状況です。しかし、今後さらにフィンテックは個人の家計生活の充実と企業の収益向上につながる可能性があります。

 金融庁の森信親長官は「現在、多くの人々がフィンテックに注目しているのは、現在見通せている事柄が理由というよりも、予め予測できないような不連続な破壊的イノベーションが起こる蓋然性が高まっているのではないか、現時点では想像できない新しいビジネスモデルやサービスモデルが登場して、それが国境を越えて世界を席巻してゲームのルールを根こそぎ変えてしまうこともあり得るのではないか、という予感に基づく面が大きいのではないでしょうか。しかし、現時点ではこの予感が正しいかどうかを見通すことすら容易ではありません。」と述べています。

 本稿が、我が国におけるフィンテックの現状に対する皆様の理解と興味を促すものになれば幸いです。


連載協力:税理士法人AKJパートナーズ
    ( http://www.akj-partners.com/