企業年金:適格退職年金

最終更新日:2010年03月13日

適格退職年金とは、企業が法人税法上に定める適格要件(掛金を外部に払い込むことや加入者に役員を含まないこと等)を満たし、国税庁長官の承認を得ることで、掛金が税制上の優遇措置(損金算入)を受けることができる制度である。




●過去勤務債務


既存の企業が厚生年金基金または適格退職年金へ新たに加入する場合は、様々な年齢の加入者がいることが一般的である。したがって、厚生年金基金・適格退職年金加入前の一定期間を年金(一時金)受給資格期間に含めると、どうしても積立不足が生じてしまう。このことを過去勤務債務という。過去勤務債務は数年間にわたり償却していかなければならない。




●給付


退職年金、退職年金の代わりである選択一時金、脱退一時金がある。なお、退職年金の支給期間は5年以上であれば終身でなくてもよい。




●税務上の取り扱い


掛金の拠出時における事業主負担分は全額損金算入、加入者負担分は生命保険料控除となる。但し年間5万円が限度です。次に、運用時における加入者負担分を除く積立金(年金資産)は毎年1.173%の特別法人税が課税される。ただ、特別法人税は現在凍結中である。給付時において年金で受給する場合は雑所得で公的年金等控除を適用することができ、一時金で受給する場合は退職に起因する場合は退職所得、退職以外の場合は一時所得となる。




●今後の制度について


2002年4月以降は、新たな適格退職年金の設立は認められなくなりました。既存の適格退職年金は、2012年3月までに、確定給付企業年金制度等他の年金制度に非課税で移行するか、制度を廃止しなければなりません。




執筆:有限会社人事・労務  代表 矢萩 大輔

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