自賠責の補償限度額は、傷害事故の場合は120万円で、死亡事故の場合は3,000万円。
だたし、軽度の事故の場合はあまり問題にならないが、傷害事故の場合は限度額が低いため、大きな交通事故でケガの状態がひどい場合は、自賠責を使うとケガの治療費だけであっという間に補償限度額の120万円に達してしまう。そのため、自賠責でしかもらえない慰謝料が支給されなくなってしまうので注意が必要だ。治療費に関しては、労災保険を使い、慰謝料や休業損害に関しては、自賠責を使うというように、両者を使い分けるのも良いだろう。
また、自賠責を選んだ場合に忘れがちなのが、(自賠責から)休業損害を受けた場合でも、労災保険の休業特別支給金は支給されること。忘れずに労働基準監督署に請求しよう。
これらのことからもわかる通り、自賠責の休業損害が100%で、労災保険の休業特別支給金が20%なので、両方を合わせると120%の補償が受けられるということになる。自賠責の方がメリットが高いという理由がこの点からもわかる。
(執筆: クリフィックス税理士法人 村松鋭士 / 「月刊総務」2008年10月号より抜粋・編集)