著作権法:私的使用について

最終更新日:2010年03月05日

著作権法:目次

私的使用であれば著作物を許可無く使用出来ます。

(1) 私的使用のための複製

第三十条: 著作権の目的となつている著作物(以下この款において単に「著作物」という)は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。...以下省略...

家庭内など個人的な限られた範囲内で使用する目的で、使用する本人がコピーする場合は、著作者から許諾を得なくてもよい、という規定です。使用する本人がコピーする場合ですので、人から頼まれてコピーしたり、人にプレゼントする目的でコピーする場合は許諾が必要です。 ただし、最初は私的使用の目的で複製したものであっても、後になって私的使用の範囲を超える方法で使用するときには、複製権者から許諾を得なければなりません(著作権法49条)。

私的使用の規定はコピー(複製権)する場合のことですので、インターネットでの利用(公衆送信)や演奏など複製以外の場合は、たとえ個人的な利用のつもりでも許諾が必要です。 

コピープロテクト(複製を阻止する手段)されている著作物のコピープロテクトを不能にしてコピーすることは、目的が個人的使用であり、使用する本人がコピーする場合であっても許されません。特殊な技術を持った人だけが自由に利用できるのは不公平だからです。 

第30条をみますと、例外の1 において公衆用自動複製機器(いわゆるコンビニのコピー機)によるコピーはできないことになっています。それでは、コンビニで本や地図、絵などをコピーすることは著作権法違反になるのでしょうか? 実は、著作権法には附則という但し書きのような規定があります。その第5条の2において、文書と図画(とが)をコピーする行為は、当分の間私的使用として認める、ということになっています。文書と図画ですから、コンビニの紙でコピーするコピー機はかろうじて合法ということになります。もちろん、個人的に使用する本人がコピーする場合に限ります。 では、音楽をコピーする機器がコンビニに置いてあったらどうなるでしょう。附則では、文書と図画だけを認めていますから、音楽のコピーはできません。すなわち、コンビニで音楽のコピー機は置かれることはない、ということです。

(2) 目的外使用の場合

最初は私的使用のつもりで複製したものであっても、後になって異なる目的で使用する場合には、複製権者からの許諾が必要になることがあります。私的に複製したからといって、その利用が自由になるわけではありません。家庭内など限られた範囲でしか使用できないのです。(著作権法49条)

(執筆:のぞみ合同事務所 行政書士日野孝次朗)

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