感染防止対策を行う際には、「感染方法」を確認することが重要です。
新型インフルエンザや新型コロナウイルスの感染ルートは、「飛沫感染」と「接触感染」です。「飛沫感染」は、感染者の咳やくしゃみでまき散らされた「飛沫」を、別の人が直接吸い込むことで生じます。「接触感染」は、感染者が自分の咳やくしゃみを押さえた手で周囲のモノに触れ、ほかの人がそのモノに触れた手で自分の目や鼻や口などの粘膜を触ることで生じます。
つまり、「(1)感染者がウイルスをまき散らさない」「(2)まき散らされたウイルスを除去する」「(3)手指を消毒し、不用意に自分の目や鼻や口を触らない」という対策を講じれば、感染リスクを低下させることができます。いわゆる「咳エチケット」や「手洗いの徹底」は、これらに有効であるため推奨されているのです。
こまめな手洗いや、感染者が触れやすいモノの消毒は有効です。ただし、ウイルスや感染症の原因となる微生物の種類により、有効な消毒方法が変わりますので確認が必要です。新型インフルエンザウイルスや新型コロナウイルスは、石けんによる手洗いやアルコール消毒が有効です。モノの消毒については、次亜塩素酸ナトリウムの希釈水を布や紙に含ませて拭き上げる方法も効果があります。
ただし、手指の消毒をした直後にトイレの蛇口やドアなどの「モノ」に触れると、その時点で手にウイルスが付着します。この状態で自分の目や口などに触れると感染する恐れがあるため、手洗いは「不用意に目や口に触れない」という啓発とセットで行わなければ意味がありません。
また、ドアノブ・スイッチ・手すり・事務機器・トイレ周りなどを消毒しても、新たなウイルスが付着するのでは意味がありませんから、感染者のマスク着用や、くしゃみを手で受けないなどの「咳エチケット」対応とセットで行うことが重要です。
出所:『月刊総務』2020年4月号「新型肺炎から社員を守る企業の対応策」より抜粋