ある調査によれば、東京都内で仏式の社葬を参会者1000人規模で行うとすると約1700万円が必要になる。キャッシュフローや資産的な面で余裕のある会社ならともかく、社葬や役員退職金・弔慰金の費用は一挙に必要になる資金である。まず、主要役員の死によってどのくらいの費用が必要になるのかを、冷静に見ておかなければならない。そのうえで資金準備をしなければならないが、生命保険は有効な手段になる。保険という性格上、加入時点で万が一に必要な額が保障される。保険金収入があっても社葬費用にあてられる分は当然経費に計上できる。もちろん保険料は損金算入が可能であり、毎期の計上で経費の平準化がはかれる。また、めでたく任期をまっとうした役員には、解約返戻金を退職金の原資として支払うにも有効だ。生命保険は、リスクマネジメントの観点からすればきわめて合理的なシステムといえそうだ。
(執筆:『月刊総務』)