最終更新日:2010年03月02日
●運転者管理
企業にとってやっかいなのは、自動車事故でも当方に過失がある場合。示談をめぐって非常な労力がかかることになる。自動車事故は、確率の問題でもある。特に過失事故の場合、自動車を運転する機会、或いは運転する人が少なくなればなるほど、発生の確率は少なくなっていく。よって、企業として、社内で運転を許可する者を絞っていけば良いのである。さらに、運転を許可する条件を厳しくしていけば良い。「運転技能の優れた少数のドライバーのみに、会社として運転を許可する。」このような体制を目指すべきである。そのための施策として、社内運転許可制度、運転者管理台帳がある。運転することにより自動車事故の発生確率が高い未熟なドライバーには、運転を許可せず、自動車事故を起こすことを未然に防ぐ。このような考え方により、運転者管理を行うということを全面に謳って実施すべきである。
●運転者台帳管理
運転者台帳による管理とは、社内免許制度により、許可を与えた者を管理するのに必要となる。氏名や部署名、運転歴と過去の事故・違反歴そして免許の更新時期を管理する。特に、免許の更新時期は正確に管理。無免許で事故を起こした場合、しかもそれが営業途上であると、会社の管理責任が問われる。免許が更新されたら免許証のコピーも合わせて管理し、絶対に無免許運転にならないよう注意する。同一人物が頻繁に事故や違反を繰り返した場合は、管理部門の責任者に配置換えを進言するなど、運転者としての適正も管理しておくこと。
●運行管理
車両の使用状況の把握により安全運転管理の方策が随分と違ってくる。特定の者のみが運転するのか、特定できずだれもが必要に応じて運転するのか。それにより安全運転管理の対象も異なる。行き先が把握できれば、別に車両がなくても構わないことになるかもしれない。社内免許制度も運行を管理することで、実際に社内免許が必要な者をこれにより確認することができる。運行管理は(運送会社での運行管理は、特定のドライバーに負荷をかけないように、管理する側から運行計画により車両の使用状況を管理することで、ここでの運行管理は実態を管理把握することを意味する)、車両の使用に即した安全運転管理、つまりは自動車事故の削減施策を検討するローデータを入手することであるとの認識が必要である。「実態に即した、そして効果的な安全運転管理のため、実態を把握する。」このような体制を目指すべきである。そのための施策として、車両使用台帳、運転日誌がある。
●車両使用台帳管理
車両使用台帳は、氏名、部署、行き先、目的、使用日、使用開始時間など、車両の使用の許可を得るために記入するもの。車両管理部署、管理担当者が管理し、内容をその都度確認する。但し、記入・申請ごとに使用の判断をしていると、営業や業務の支障になるので、記入や申請があれば許可する。但し、雪や台風などの悪天候の場合は、使用を止めるか、一言注意するようにする。記入してもらったら、鍵をわたし、使用が済んだら、終了時間を記入してもらう。車両の整備不良があれば、その都度報告してもらえるようにする。この記入を継続していけば、徐々に使用のパターン、使用者が特定されてくる。そのパターンをもとにして、安全運転管理の方向性と対象者を決定していく。
●マイカー通勤管理
マイカー通勤を認めた場合、会社としてはどのような責任を負うこととなるか。まず、自賠法3条の運行供用者責任がある。これは、その車両につき運行支配権を持ち、且つその使用により利益がもたらされる者は、その運行により生じた損害を賠償しなければならない。次に、民法715条の使用者責任。これは、使用者は指揮下の社員により利益を得るのだから、社員がその利益のために生じさせた損害について、使用者が賠償しなければならないというものである。マイカーを業務にも使用する場合は、明らかに上記2つの法令より、会社はその責任を負うこととなる。また、通勤にのみ使用している場合であっても、まず間違いなく会社の責任が問われることとなる。個人よりも会社の方が賠償能力が高いので、会社に対して損害賠償を請求されることが考えられる。マイカー通勤を認める条件を厳しくし、マイカー通勤者を絞り込むのがベストの方法である。
●許可制度
マイカーで通勤する者の条件としては、以下のようなものが考えられる。
(1) 免許取得後、一定の期間(1年以上)経過していること。
(2) 使用する権利のある車両であること。
(3) 自賠責保険の加入、任意保険の加入がされていること。任意保険の対人賠償は無制限とするのが一般的である。その他の付保条件は各社で定める。
(4) 会社で定められた安全運転講習会に必ず参加すること。
(5) 他の公共交通機関による通勤が不可能であること。
(6) 深夜勤務などにより、勤務形態によりマイカー通勤が必要であること。
(7) 自宅から会社までの通勤距離が一定以上離れていること。
そして、必要な申請書及び誓約書を提出させる。免許の更新時期を把握しておき、無免許運転は絶対にさせないこと。
(執筆:『月刊総務』)
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