Web社内報は、閲覧までに相当の意思が必要なメディアです。PCを起動し、Web社内報のコーナーをクリックし、さらにお目当ての記事をクリックし、やっと閲覧される。ある会社では、端末を立ち上げると、最初にWeb社内報が立ち上がるようにしています。また、Web社内報に経費精算書等をぶら下げて、必ずWeb社内報のコンテンツが目に入るようにしている会社もあります。
会社によっては、就業中に気軽に閲覧できない場合があります。社内報は読んでもいいのに、Web社内報だと遊んでいると思われそうです。ある会社が閲覧履歴を分析したところ、始業前の五分間と昼休みの五分間に集中しているといった実態が分かったそうです。また、ある会社では、社内報を廃止してWeb社内報にしたのですが、閲覧できない風土があり、社内報が復活したそうです。
SNSやブログが普及したとは言え、Webで長文を読むのは抵抗があります。Webは見るメディアであり、長文、硬い内容(経営企画)を読ませるのは困難です。ある会社では、写真を中心に、コンパクトにまとめ、1スクロールで見られるようにしていると言います。
ニュースなどのお知らせ記事は、淡々と事実を掲載すればよいのですが、企画立案の難しさがWeb社内報にはあります。クリックした先が予想できるものはなかなかクリックしてもらえません。クリックした先に何があるか、企画に意外性が必要とされるからです。ある会社の新人紹介企画は、新人の写真をクリックすると「私の大切なもの」の写真が掲載されるようになっています。その先が見たくなる期待感により、閲覧率が高かったそうです。
メディアとしての問題点もあります。軽いメディアとの印象を持たれてしまうのです。掲載される側としては、印刷メディアと比較して、嬉しさが少ないとはよく聞く話です。
また、参加型メディアの利点を活用して、誰でもが投稿できるようにしたところ、素人がゆえに、メディアとしての質の維持が保たれないという懸念があります。投稿記事は、投稿する人の筆力によっては、メディアの質を落としかねないのです。ある会社では、投稿は一切禁止。すべてリライト、もしくは取材をして記事アップしているそうです。
最後にリカバリーの難しさです。Web社内報は、1度閲覧されなくなると、復活は非常に困難です。社内報は手元に届くPusH型メディアなので、表紙をリニュアルするなどして、再度注目を集めることができます。
(執筆:ナナ総合コミュニケーション研究所)