文書管理の事前準備:何のため、誰のための管理?

最終更新日:2015年04月17日

●管理する対象範囲

文書管理の対象の範囲はどこまでか。公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)では、管理する対象として「文書情報=コンテンツ」の考えのもと「文書情報とは、組織が職務上作成し、または取得した文書、図書及び電磁的記録」と定義されており、従来の文書・書類、図面はもとよりパソコン等で作成した電子文書、イメージ情報、映像、音声や電子メールなど、電子的に作成または取得した全ての情報を対象としている。また、文書管理のことを文書情報管理と呼称している。




●文書管理の目的

文書管理の目的としては、(1)業務の効率化、(2)情報・知識の共有、(3)書類量の削減、(4)アカウンタビリティー(説明責任)、(5)リスクマネジメント、などが挙げられる。


しかし、このような目的は経営の立場に立ったものであり、実際に文書を扱っている人にとっては、現状あまり問題がなく、困っていないというケースが多く、文書管理については無関心となりがちである。


そこで、下図(図表-1)のように、文書管理を自分の業務の効率化やお客様の満足度向上などに置き換え、目的に向けての具体的なイメージを持たせることで、動機付けを行う必要がある。




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(図表-1)


文書管理における最大の目的は、「属人管理から組織管理」である。そのためにも、個人の業務を明確にし、かつ文書の流れを可視化することで、他の人でも対応可能にすることである。

すなわちそれが自分の業務を楽にすることであり、増力化が図られることにもつながる。

また組織の業務、文書量が見えてくると、同じような事をしている、同じ文書を抱えているなどの「ムリ・ムダ・ムラ」が顕在化し、集中と選択をすることで業務の省力化が図られる。

結果として、それは時間の創出となり、新たな事業や取り組みの源となり、ひいては売り上げの拡大へと繋がる。


●「緊急時の対応」の視点

日常的な文書情報管理には、異なる視点として「緊急時の対応」がある。

日常の業務では、情報共有のために文書はできるだけ電子データに変換し、検索しやすいようにキーワードを付けて管理すると便利である。しかし、緊急時には電子化せず、紙で保管しておくほうが便利な場合もある。これは停電やネットワーク遮断などでパソコンが使えない状況でも、すぐに情報を確認できるようにするためである。そのためにも、緊急時を想定し、どのような文書を、どのような分類で、どこに管理しておくかを決めておくことも大切である。

※参考 「JIIMA危機管理を目的とした文書・記録管理ガイドライン」 




●どのような単位で管理するのか

総務部門や情報システム部門が策定する規程は組織全体に共通するものだけに限定し、各部門の文書に関しては部門内で決められるようにしておく。業務内容が変わった場合など、柔軟に修正できるようにするためである。しかし、部門内だけで進めると十分な専門知識がないままに文書管理規程を策定してしまう危険性があるため、法務部門などとも連動して、不備がないように配慮する必要がある。


※ さらに詳しく学習したい方は公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)が主催している認定資格を取得できるセミナーがあります。

詳細はこちら


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『月刊総務』2014年6月号 総務のマニュアル「一から始める文書情報管理業務マニュアル」(執筆:木戸 修 JIIMA講師)より再編さん

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