(図表-4)
(1)会社上層部の理解と支援:トップの関与が必須
文書管理を始めるきっかけは大きく2つ。1つ目は情報漏えいや訴訟、監査の指摘など、何らかの事象の発生によって、トップダウンで指示される場合。2つ目は文書管理に携わる人や総務として、現状の課題を認識して、ボトムアップによる改善のために取り組むもの。後者は、目的を明確にしてトップにまず理解を求めることから始める必要がある。錦の御旗がないと、"笛吹けども踊らず"になるので必ずトップの関与が必要である。
(2)活動の納得:なぜ文章管理が必要なのかを理解
トップの理解・承認を得るためには、明確な目的とゴールイメージを持ち、効果を数値で押さえることが必要である。目的としては、属人的に行われている文書管理によるリスクや問題点を明確にし、組織で管理することによる、ムリ・ムダ・ムラの排除と業務の効率化の実現、そして現状と施策導入後の効果を数値で説明することで理解してもらう。例えば紙削減を50%とか紙文書の検索が1件当たり30秒以内にできるなど明確な目標値を立て、投資対効果を明示することで、活動に向けての指示、支援に繋げ、会社の方針として活動する旨を伝えることである。
(3)抵抗を減らす:現場に影響のある推進体制とスケジュール立案
推進体制を決めるに当たり、自部門であれば部門長に、全社の取り組みであれば管理部門の役員に、推進体制のリーダーを担ってもらう。場合によっては、睨みを利かせてもらうことも必要である。また、事務局および現場の推進メンバーは実行力、指導力、影響力のある人に担ってもらうことで、会社(組織)の本気度が伝わるので、事務局メンバーは安易に選ばないようにしたい。スケジュールの立案については、必ず数回のポイント(進捗確認と次活動の説明)を設け、現場の意見や状況を吸い上げることと、その対策も行うことが重要である。また必要に応じてリーダーからのメッセージも入れることで現場の士気を上げるなどの工夫を行うとよい。
(4)素早く行動:わかりやすい作業内容の提供
現場の協力無くして文書管理は進まない。現場があまり考えなくてすむようにすることが重要である。作業項目が明快な手順書やガイドを用意することで、文書管理を推進するとよい。また研修会などの教育訓練を実施し、現場への理解浸透を図ることも必要である。
(5)意欲の持続:維持管理の仕組み
定着化、さらには結束意識の高揚のためにも、全員参加の施策として、定期的なモニタリング活動を実施する。ここで確認すべきは、意識度、実行度、協力度など、現場視察を交え相互牽制的に実施することである。重要なのはフィードバックを実施し、PDCAを回し、継続することである。継続することで、会社(組織)の風土・文化として根付かせることができる。
『月刊総務』2014年6月号 総務のマニュアル「一から始める文書情報管理業務マニュアル」(執筆:内田 俊哉 JIIMA講師)より再編さん