月刊総務プラス

『月刊総務』本誌記事:

総務パーソンが押さえておきたい5月のトピックス

2017-04-11 10:09

2017.May

■法務

執筆/小沢・秋山法律事務所 弁護士 香月裕爾

●会社法改正の動向

 2月9日、法制審議会第178回会議が開催され、会社法制の見直しがテーマとされました。当会議における法務大臣の諮問は、「近年における社会経済情勢の変化等に鑑み、株主総会に関する手続きの合理化や、役員に適切なインセンティブを付与するための規律の整備、社債の管理の在り方の見直し、社外取締役を置くことの義務付けなど、企業統治等に関する規律の見直しの要否を検討の上、当該規律の見直しを要する場合にはその要綱を示されたい」との内容で、法制審議会では会社法制部会を設置。有識者委員等による審議が開始されます。
 今回のテーマは、(1)株主総会手続きの合理化、(2)社外取締役の設置の義務付け、(3)役員報酬の規定の見直し、(4)社債の管理規定の見直しです。(1)は、株主総会での株主提案権の濫用的な行使の制限、および株主の承諾なしに総会資料のインターネットを通じた配布の是非の検討。(2)は、前回の会社法改正で見送られた社外取締役設置の義務化について。(3)は、業績連動型の報酬を支給する際の規定の整備などが話し合われます。(4)は、会社法で義務付けられた社債管理者の導入率が低いため、実態に即した制度について議論がなされます。前回の会社法改正を皮切りに、債権法改正法案、および商法改正法案の上程、相続関係部会における審議など、法務省の法改正への対応は極めて積極的であるため、近い将来に会社法改正が実現すると見られています。
 

■労務

執筆/斉藤社労士事務所 特定社労士 斉藤貴久

●時間外労働の絶対上限時間

 2月14日に開催された働き方改革実現会議では、時間外労働時間の上限を年間720時間(月平均60時間)とする政府案が提示されました。現在、特別条項付の三六協定を締結していれば、合法的に青天井の時間外労働時間を設定できますが、労働基準法で罰則付きの絶対上限を定めることが検討されています。政府案では、年間720時間の絶対上限を設け、その範囲内で一時的に業務量が増えた場合でも、最低限上回ることのできない上限(月100時間等)を設ける想定がされています。現在の特別条項付の36協定を踏襲していますが、それでも労働時間に法律上の絶対上限時間が存在しない現状を踏まえれば、大きな一歩といえそうです。
 

●年次有給休暇の取得率

 厚生労働省が公表した就労条件総合調査によると、年次有給休暇の取得日数は8.8日、取得率は48.7%でした(2015年)。取得日数では前年と同日数、取得率では1.1ポイントの上昇であり、大きな変化はないようです。
 企業規模別では、大企業(1,000人以上)で54.7%、中小企業(30-99人)で43.7%となっており、企業規模が小さくなるのに比例して取得日数と取得率が低下しています。権利である年次有給休暇を取り残す現状からすると、ワーク・ライフ・バランスが進んでいない実態がうかがえます。
 

■税務

執筆/税理士法人AKJパートナーズ

●空き家に係る譲渡所得の特別控除

 相続人が、相続によって取得した被相続人の居住用家屋、およびその家屋の敷地等を、2016年4月1日から2019年12月31日までの間に譲渡する場合、一定の要件を満たすことにより、その譲渡は居住用財産の譲渡とみなして、居住用財産の譲渡所得の3,000万円特別控除の適用を受けることができます。要件は下記の通りです。
・1981年5月31日以前に建築された家屋であること
・相続開始の直前において被相続人の居住の用に供され、それ以外に居住をしていた者がいないこと
・相続のときから譲渡のときまで空き家であること
・譲渡対価の額が1億円を超えないこと
・その他一定の要件

 

●債権債務を相殺した場合の印紙税の取り扱い

 同じ取引先に対する売掛債権と買掛債権を相殺し、その事実を証するため作成する領収書は、金銭等の受領事実がないため、印紙税法上の受取書には該当せず、印紙税の対象とはなりません。ただし、相殺の事実があったことをその文書上で明らかにしていない場合には、金銭等の受領事実があるものとみなされ、印紙税法上の受取書に該当し、その領収書には印紙の貼付が必要となるので留意が必要です。
 
『月刊総務』2017年5月号P7より転載