ついやっていませんか? 年末に急増する「シャドーAI」 無許可のAI利用によるリスクとは
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生成AIの急速な普及により、企業の現場では日々AIツールが活用されるようになっています。その一方で、企業が正式に許可していないAIサービスを従業員が個人の判断で業務に用いる「シャドーAI(Shadow AI)」が深刻化しつつあります。これは、ChatGPTやClaude、Geminiといったチャット型AIに限らず、AI翻訳や文章要約、画像生成など、多様なAIツールにも共通する課題です。個人アカウントで簡単にログインし、即時に利用できることが問題を一層複雑にしています。
シャドーAIは、業務効率化のためとして軽視されがちですが、情報漏えい、法的リスク、ガバナンスの崩壊など、企業全体に深い影響を与える危険な行為です。そして、このシャドーAIが最も増える時期が「年末」です。今回は、年末にシャドーAIが急増する理由と、その背後にある構造、そして総務が年末のタイミングで着手すべき対策について解説します。
年末に実際に起きやすいシャドーAIの具体例
現場では、以下のような行為がよく見られます。いずれも本人は「効率化のため」と考えていても、企業としては大きなリスクとなる行為です。
- 営業担当が顧客メール文案を個人ChatGPTに入力
- 派遣スタッフが領収書情報を無料AI要約ツールに投入
- 広報担当が社外秘の経営メッセージをAIに下書き依頼
- マーケ担当が個人端末から画像生成AIを利用
- 外注ライターが原稿の元資料を自分のAIアカウントで解析
年末にシャドーAIが急増する構造的理由
なぜ、年末にシャドーAIの利用が増えるのでしょうか。その背景には、主に3つの理由があります。
(1)業務繁忙期による判断の短絡化
年末は企業にとって最も作業が集中する時期です。年末調整、決算準備、予算案の取りまとめ、年間報告書の作成、繁忙期の顧客対応など、部署を問わず業務量がピークを迎えます。
このような環境では、「少しでも早く作業を終えたい」「効率化できるところは機械に任せたい」という現場の願望が強くなり、正式な承認ルートや情報システム部門への確認を後回しにする傾向が生まれます。ここで「とりあえず個人アカウントのChatGPTを使ってみよう」と判断されやすく、シャドーAIの利用が急増していきます。
生成AIの大きな特徴は、「インストール不要」「ブラウザーで即時利用可能」「無料でもある程度の品質の回答が得られる」といった点にあり、繁忙期の「即効性ニーズ」と非常に親和性が高いのです。
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