その契約書、AIに任せて大丈夫? 総務が知っておくべき「AIリーガルチェック」のリスク
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ChatGPTをはじめとする生成AIの普及により、契約書のリーガルチェックをAIで行う企業が急増しています。特に中小企業では法務部が存在せず、総務部や管理部門が契約書の確認を兼務しているケースも多く、「AIを使えば専門家に頼らずに済むのではないか」と考えてしまいがちです。しかし、契約書のリーガルチェックは、企業経営や事業継続に直結する極めて重要な業務です。安易なAI活用は業務効率化どころか、重大なリスクを企業にもたらす可能性があるのです。
今回は、ITの視点から、AIを使ったリーガルチェックの限界とリスク、そして総務部として取るべき適切なAI活用の在り方について解説します。
総務部がリーガルチェックを担うケースが増えている理由とは
大企業では、契約書の確認は法務部や顧問弁護士が担当するのが一般的です。一方、中小企業では人員やコストの制約から、総務部や管理部門が法務業務を兼務することが珍しくありません。たとえば、ある従業員30人規模のIT企業では、総務担当者が以下のような契約書を日常的に扱っています。
- 業務委託契約書
- 取引基本契約書
- 秘密保持契約書(NDA)
- 業務提携契約書
これらの契約書は、営業部門や経営層から「早く確認してほしい」「今日中に返事が必要」と依頼されることが多く、慎重さとスピードの両立が求められます。その結果、「まずはAIに聞いてみよう」という判断に至るのは、決して特殊なケースではありません。
インターネット上では、「契約書をAIに貼り付けるだけで問題点を指摘してくれる」「弁護士に依頼する必要がなくなる」といった情報が数多く発信されています。こうした情報を見た総務担当者が契約書全文をAIに入力し、「リスクがあれば教えてください」と指示するケースも増えています。
しかし、ここには大きな誤解があります。生成AIは法律の専門家ではありません。あくまで過去の膨大な文章データを基に、「それらしく見える文章」を生成しているに過ぎないのです。たとえば、AIは「この条文には損害賠償リスクがあります」と指摘することはできますが、そのリスクが「自社にとって許容できるものか」「交渉すべきレベルなのか」「事業にどの程度影響するのか」といった判断はできません。
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