不正競争防止法改正で、メタバース内も対象に デジタル資産を守るためのITセキュリティ強化策
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直近、2024年4月1日から改正された不正競争防止法は、デジタル化の進展に対応し、企業のデジタル資産を保護するために施行されました。これにより、デジタル空間での模倣行為の防止と限定提供データ(後述)の保護が強化され、企業は新たなセキュリティ対策を講じることが求められています。そのため、データの暗号化やアクセス管理の強化、セキュリティ監視システムの導入など、デジタル資産を守るための対策を見直し、強化する必要があるでしょう。今回は、不正競争防止法改正施行に伴うIT対策の基本方針と具体的な対策を解説します。
改正内容の概要
不正競争防止法の主な改正点は、以下の3つです。
(1)デジタル空間での模倣行為の防止
特にオンライン上での商品やサービスの模倣を厳しく取り締まることを意味します。これには、メタバース内でのブランドロゴやデザインの無断使用、オンラインゲームでの著作権を侵害するアイテムの販売などが含まれます。企業は、これらの行為に対して法的措置を取ることが可能となり、デジタル資産を守るための具体的な権利を有するようになりました。
(2)限定提供データの保護強化
ビッグデータを他者と共有するサービスにおいて、データを秘密管理している場合も含め限定提供データ(※)として保護し、侵害行為の差し止め請求等が可能となります。また、損害賠償請求訴訟で被侵害者の生産能力等を超える損害分も使用許諾料相当額として増額請求を可能とするなど、営業秘密等の保護も強化されます。
※参考:経済産業省「限定提供データについて」
ここで意味する限定提供データとは、ビッグデータやAI技術を利用したソフトウエアの開発データセットなど、企業や組織が管理する情報の中で、特定の条件下で特定の者に提供される情報を指します。具体的な例としては、気象データ、地図データ、機械の稼働データ、消費動向データなどがあり、他社と共有・利活用されることを前提とした情報が該当します。
これらのデータの定義は、以下の要件を満たす必要があります。
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