月刊総務プラス

『月刊総務』本誌記事:

総務パーソンが押さえておきたい6月のトピックス

2017-05-12 10:25

2017.June

■法務

執筆/小沢・秋山法律事務所 弁護士 香月裕爾

●個人情報保護委員会事務局の匿名加工情報に関するレポート
 2月28日、個人情報保護委員会事務局レポート「匿名加工情報 パーソナルデータの利活用促進と消費者の信頼性確保の両立に向けて」(以下「レポート」)が公表され、ビッグデータ売買の指針が示されたと報道されています。
 5月30日に全面施行される改正個人情報保護法では、匿名化されたパーソナルデータを本人の同意なく第三者に提供できると規定され、匿名加工情報に関するガイドラインが制定されたところですが、事業者が行う加工については、認定個人情報保護団体の自主ルールに委ねられます。レポートでは、自主ルールを定めるための参考事項などが紹介されています。特定の個人が識別できる情報(氏名・住所・生年月日・個人識別符号)の削除を前提に、ビッグデータが利用される5種類の典型事例は次の通りです。(1)ID-POSデータによる購買履歴では、店舗名は明示できますが、購買物が限定品や超高級品の場合は削除。(2)クレジットカードの購買履歴は、勤務先は業種レベル、収入は300万円単位で表す。(3)交通系ICの乗降履歴は、改札口などの出入り口情報、カード残額、定期券情報は削除対象。(4)自動車の移動履歴では、出発と到着時刻情報は削除、速度は10キロ単位で示す。(5)電力履歴は、家族構成は1人から4人以上の4区分、家の築年数は5年単位で5区分、床面積は20平方メートルで4区分、とされます。
 

■労務

執筆/斉藤社労士事務所 特定社労士 斉藤貴久

●「働き方改革実行計画」を決定
  3月28日、政府の働き方改革実現会議は「働き方改革実行計画」と2017年度からの工程表を決定しました。実行計画には9つの改革項目が並んでいます。「非正規雇用の処遇改善」としての同一労働同一賃金、「長時間労働の是正」をはかるための時間外労働の上限規制が注目されます。また、EUで導入されている「勤務間インターバル規制」を努力義務として法制化する計画も盛り込まれ、長時間労働抑制の実効性を確保する手段として期待されます。
 これらの計画は、今後労働政策審議会等を経て法案化されることになりますが、すでに労使合意のあった時間外労働に関する絶対上限時間の問題とは異なり、同一労働同一賃金については今後も大きな議論を呼ぶことになると思われます。
 
●「雇用保険法等の一部を改正する法律案」が成立
 3月31日、「雇用保険法等の一部を改正する法律案」が参議院本会議で可決・成立しました。この中で次の2点に注意が必要です。まず、失業等給付に関する雇用保険料率が引き下げられ、現行の0.8%から0.6%になります(4月1日施行)。また、現行の育児・介護休業法では保育所に入れない場合等の理由があるとき、1歳6か月まで休業期間を延長できますが、この期間を2歳まで延長することが可能となります(10月1日施行)。
 

■税務

執筆/税理士法人AKJパートナーズ

●過去に遡及して支払う残業手当の処理
 近頃、労働基準監督署から、実労働時間に即した割増賃金を労働者に対して支払うよう行政指導を受け、過去数年間の実労働時間に基づく残業手当と、実際に支払った残業手当との差額を一括して支払うようなケースも増えています。過去の勤務に基づく残業手当は給与所得に該当し、本来支給されるべき日の属する年分の所得となります。つまり、一括支給した残業手当についてはこれを各年分に区分し、所得税を源泉徴収するため留意が必要です。
 ただし、給与規程の改定を行い、当該改定の効力が過去にさかのぼって適用されたために支払われることとなった残業手当の差額の一括支給についてはその取り扱いが異なり、支給日が定められているときはその支給日、定められていないときは当該改定の効力が生じた日の属する年分の所得として源泉徴収を行います。
 
●非常用食料品の取り扱い
 地震などの災害時に備え、長期備蓄用の非常用食料品を購入し、備蓄している会社も多いかと思います。当該備蓄品については貯蔵品として計上し、実際に使用したときなどに損金計上している会社も見受けられます。備蓄品は「飲食することが目的」ではなく、「非常時に備えて備蓄することが目的」です。つまり、備蓄時に事業供用があったものとして、そのときに損金算入することが可能です。
 
『月刊総務』2017年6月号P7より転載