月刊総務プラス

『月刊総務』本誌記事:

総務パーソンが押さえておきたい8月のトピックス

2017-07-11 09:45

2017.August

■法務

執筆/小沢・秋山法律事務所 弁護士 香月裕爾

●フェア・ディスクロージャー・ルールにかかわる金融商品取引法の改正
 本年5月17日、金融商品取引法の一部を改正する法律案が成立しました(以下「改正法」といいます)。改正法の主要な事項は、(1)取り引きの高速化への対応、(2)取引所グループの業務範囲の柔軟化、(3)上場会社による公平な情報開示の3つです。(3)は、いわゆる「フェア・ディスクロージャー・ルール」を具体化するため、新たな情報開示制度を創設するものです。その背景には、(1)上場会社が証券会社のアナリストに未発表の業績に関する情報を提供し、当該証券会社が顧客にその情報をもって株式売買の勧誘をしていた事例が発覚したこと、(2)欧米やアジアの市場では同ルールが導入されていることから金融庁が金融商品取引法を改正したのです。
 改正法による具体的な規制の概要は次の通りです。上場会社が未公表の重要な情報を、証券会社や投資者に伝える場合には、(1)意図的な伝達は同時に、(2)意図的ではない伝達については、速やかに当該情報をホームページ等で公表しなければなりません。ただし例外があり、情報受領者が上場会社に対し、守秘義務および投資判断に利用しない義務を負う場合は、当該情報を公表する必要はありません。さらに、国民の知る権利を担う報道機関による取材は対象外です。上場会社に公表義務があるにもかかわらず公表されない場合には、当局が指示や命令を発令します。
 

■労務

執筆/斉藤社労士事務所 特定社労士 斉藤貴久

●法令違反企業をホームページで公開
 本年5月10日、厚生労働省は「労働基準関係法令違反に係る公表事案」に関して、対象企業334社に関する情報をホームページで公開しました。以前より労基法等の違反により書類送検をされた場合には企業名が公表されてきましたが、今後は書類送検に至らずとも労働局長の指導を受けた場合を含め、公表日からおおむね1年間をめどに厚生労働省のホームページに掲載されます。ただし、毎月更新される予定であり、1年以内であっても是正や改善が確認された場合には、ホームページから削除されることになっていますので、是正勧告等への早急な対応が求められます。
 
●労基署の臨検に民間活用
 政府の規制改革推進会議は、労働基準監督署の臨検を民間に委託するプランを盛り込んだ「規制改革推進に関する第一次答申」を5月23日に公表しました。労働基準監督署による定期監督は全事業場の約3%にとどまっており、働き方改革の中で労使が合意した時間外労働の絶対上限時間数を遵守させるための監督体制が問題視されていました。具体的には社会保険労務士の活用を検討しているようですが、厚生労働省は難色を示しているようです。仮に、民間活用が進むことになれば、臨検の対象企業数が飛躍的に増加することが予想されますので今後が注目されます。
 
 

■税務

執筆/税理士法人AKJパートナーズ

●届出書等の手続き簡素化について
 納税地を異動した場合、従前は異動前および異動後両方の納税地の所轄税務署に対し、その旨を知らせる届出書を提出する必要がありましたが、2017年4月1日以後の異動については、異動後の納税地の所轄税務署に対する届出書の提出が不要となりました。給与支払事務所等の移転についても同様で、移転後の納税地の所轄税務署に対しては、届出書の提出が必要ありません。また、法人設立届出書等において添付が必要とされていた登記事項証明書について、2017年4月1日以後はその添付が不要となっています。
 
●従業員に支給する記念品等の給与課税
 会社が創業30周年などの記念行事に際し、従業員に記念品を支給する場合、(1)その支給する記念品が社会通念上記念品としてふさわしいものであり、かつ、そのものの価額(処分見込価格)が1万円以下のものであること、(2)創業記念のように一定期間ごとに到来する記念に際し支給する記念品については、創業後相当な期間(おおむね5年以上の期間)ごとに支給するものであること、その2つの条件に該当するものについては、強いて給与課税しなくても差し支えないとされています。ただし、商品券を支給した場合には、現金の支給と異ならないものとして給与課税対象となりますので、留意が必要です。
 
『月刊総務』2017年8月号P7より転載