月刊総務プラス

『月刊総務』本誌記事:

総務パーソンが押さえておきたい8月のトピックス

2018-07-27 10:30

2018.August

■法務

執筆/小沢・秋山法律事務所 弁護士 香月裕爾


●上場会社における不祥事予防のプリンシプル

 2018年3月30日、東京証券取引所等を所管する日本取引所自主規制法人は、「上場会社における不祥事予防のプリンシプル」を公表しました。近年の上場会社の不祥事の多発を背景に、市場の公正性と信頼性の確保を担う同法人の立場から、不祥事予防の取り組みを促し、企業価値の毀損(きそん)防止の観点から期待される行動原則を整理したものです。概要は次の通りです。
 (原則1)実を伴った実態把握:自社のコンプライアンスの状況を制度・実態の両面にわたり正確に把握すること。(原則2)使命感に裏付けられた職責の全う:経営陣がコンプライアンスにコミットし、その旨を継続的に発信し、コンプライアンス違反を誘発させないよう事業実態に即した経営目標の設定や業務遂行を行うこと等。(原則3)双方向のコミュニケーション:現場と経営陣の間のコミュニケーションを充実させ、コンプライアンス意識を共有すること等。(原則4)不正の芽の察知と機敏な対処:コンプライアンス違反を早期に把握、迅速に対処し、重大な不祥事に発展することを未然に防止すること。(原則5)グループ全体を貫く経営管理:グループ全体に行きわたる実効的な経営管理を行うこと。(原則6)サプライチェーンを展望した責任感:業務委託先や仕入先・販売先などで問題が発生した場合においても、サプライチェーンにおける当事者としての役割を意識し、それに見合った責務を果たすよう努めること。


■労務

執筆/斉藤社労士事務所 特定社労士 斉藤貴久


●2つの最高裁判決 非正規の賃金格差

 2018年6月1日、正社員と有期雇用労働者の賃金格差に関する訴訟として、2つの最高裁判決がありました。「長澤運輸事件」では、定年後再雇用者について賃金の減額があった場合でも、労働契約法20条に規定される「その他の事情」として考慮されることで、すぐさま違法とはならないことが確認されました。加えて、定年後再雇用者に精勤手当等が支給されないのは「不合理」とした一方、住宅手当や家族手当等の差については「不合理ではない」と判断しました。また、「ハマキョウレックス事件」では、正社員に支給されている無事故手当、通勤手当、皆勤手当、作業手当、給食手当等を契約社員に支給しないのは「不合理な格差」に当たるとされました。
 どちらのケースもトラックドライバーに関するものであり、すぐさま他社に及ぶものではないかもしれませんが、今回指摘されている手当等については、きちんと説明ができるように、支給の趣旨を明確にする必要があるでしょう。

●男性の育児休業取得率5.1%

 厚生労働省は、「雇用均等基本調査」の速報版を公表しました。これによると女性の育児休業取得者の割合は83.2%であるのに対して、男性は5.1%であり依然として低い取得率になっています。ただし、10年前の1.6%と比較すれば、少しずつ伸びてきているようです。

■税務

執筆/税理士法人AKJパートナーズ


●事業承継税制の特例措置

 事業承継税制は、中小企業における経営者から後継者への非上場株式等の承継に対する相続税・贈与税を納税猶予または免除する制度です。
 2018年度税制改正により、10年間(※)の特例措置として、従来の一般措置に加え、納税猶予の対象となる非上場株式等の制限(総株式数の最大3分の2まで)の撤廃や納税猶予割合の引き上げ(80%から100%に)、複数の株主から最大3名の後継者が承継できるなど、制度の拡充がはかられました。特例措置を受けるには、特例承継計画を策定し、2018年4月1日-2023年3月31日までに都道府県知事に提出、確認を受ける必要があります。

※2018年1月1日-2027年12月31日

●改正法人税基本通達(商品券の取り扱い)

 2018年6月1日に、国税庁から改正法人税基本通達が公表されました。原則、新会計基準の考え方を取り込む一方、中小企業に配慮し、従前の取り扱いによることも可能としています。これにより、商品券は、商品の引き渡し時に益金算入する処理が「原則」となり、商品券発行時に益金算入する処理は「例外」とされました。一定期間経過後に一括益金算入する取り扱いは維持され、商品券の発行日から10年を経過した日の属する事業年度終了のときに未計上となっている商品券に関しては、当該対価の額を一括して益金算入する必要があります。

『月刊総務』2018年8月号P7より転載