総務のトピックス

【労務トピックス】:

裁量労働制について

2016-04-26 07:12

 政府は、先日、長時間労働の抑制として、残業が100時間/月に達した場合に行なわれる労働基準監督署の立ち入り調査の対象となる基準を80時間/月まで引き下げる方針を表明しました。これは、子育て中の女性や高齢者に対して労働環境を整え、長時間労働を抑制し、短時間労働も可能な体制を作ることで一億総活躍社会を実現するための具体策の一つといえます。また、残業時間80時間といえば、国が過労死ラインとして労働災害認定の判定としても用いる基準です。会社を経営する事業主にとっては、残業時間を減らすための取組みや今まで以上に厳しい労働時間管理が求められるようになります。

 こうした状況から、業務の効率化を図り、生産性を上げて長時間に及ぶ残業を減らすという試みが重要になりますが、その一つの策として、働き方の多様化について検討します。

 「裁量労働制」という制度をご存知でしょうか。これは、実際の労働時間数とはかかわりなく、あらかじめ定めた労働時間数働いたとみなす制度です。これにより、一定の専門的な職種、企画的な職種に就く労働者については、業務遂行の手段や方法、時間配分等を大幅に労働者の裁量にゆだねることで労働時間の法規制を大幅に緩和し、かつ、労働量(労働時間数)に対してではなく労働の質に対して賃金を支払うことを可能にさせます。すなわち、実際の労働時間が6時間であっても10時間であっても、あらかじめ定められた時間(仮に8時間とする)を働いた時間とみなすこととし、労働時間の拘束が労働者の能力発揮の妨げとなることがないよう、労働者の自律性を保障することを目的とした制度設計です。

 裁量労働制は、(1)「専門業務型裁量労働制」と(2)「企画業務型裁量労働制」の2種類があります。


(1) 専門業務型裁量労働制

<導入手順>

 労使協定を締結し、所轄労働基準監督署に届け出なければなりません。労使協定では次の事項を定めます。なお、対象業務は下記に挙げる厚生労働省令で定める業務に限られます。

   ・制度の対象となる業務
   ・労働時間としてみなす時間
   ・対象となる労働者の労働時間の状況に応じて実施する健康・福祉を確保するための措置の具体的内容
   ・対象となる労働者からの苦情の処理のため実施する措置の具体的内容
   ・協定の有効期間


<主な対象業務一覧>
(実際は実態に即して対象業務か否かを判断することになります)
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(2)「企画業務型裁量労働制」

 事業運営上の重要な決定が行われる企業の本社などにおいて企画、立案、調査及び分析を行う労働者を対象とした制度です。

<導入手順>

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 裁量労働制は、知識・技術や創造的な能力を活かし労働者が主体的に働くことが可能になりますが、企業にとっては労働者の労働時間の把握義務や健康確保義務も課されています。制度導入のメリットやリスクをきちんと踏まえた上で、該当する業務のある企業では、一度、検討してみる価値のある制度でしょう。


連載協力:税理士法人AKJパートナーズ
    ( http://www.akj-partners.com/