株主代表訴訟とは、取締役や監査役(以下役員)が、何らかの責任を会社に負っているのにもかかわらず、会社がその責任を追及しない場合に、その会社の株主が会社に代わって役員の責任を追及するために提訴できる制度であり、取締役に関しては商法267条で、監査役に対しては280条で規定されている。
昭和25年にこの制度が導入されたが、平成3年迄の約40年間においての受理件数は僅か19件でしかない。平成5年の商法改正により、提起手続きに関する手数料が一律8,200円に軽減されたことを契機に、広く知られるようになり、提起件数は増加の一途を辿っている。
最近は高額な請求よりも、役員の範囲や請求内容を限定し、原告株主が「勝訴するパターン」を選定して、株主代表訴訟を提起する動きが活発化することが予想される。役員個人の問題として考えるのではなく、企業イメージを守ることから、企業、組織として株主代表訴訟予防策を考えるべきである。
株主代表訴訟に関する商法の規定は数少ない。根幹は理解できるが、これらの知識で全容を理解することは難しい。新聞含め、商法改正の動きや最新の判例、D&O保険の動向など、株主代表訴訟の傾向を常にチェックしておくべきである。
役員、特に取締役の会社に対する責任であるが、取締役は会社と委任契約の関係にあり、よって、善管注意義務と忠実義務を負っていることになる。この2つの義務に違反すれば、委任契約に対する債務不履行となり、民事上の損害賠償責任を負うことになる。その他、商法第266条において取締役の責任が以下の通り明確に規定されている。
(執筆:『月刊総務』)