以上のような、海外現地従業員の状況と関心事、そして、グローバル経営における経営理念・ビジョンの共有という観点から、具体的な社内広報メディアの設計を考えてみます。
コンテンツについては、一般的にどのようなものがグローバル社内報には掲載されているのでしょうか。ナナ総合コミュニケーションが発行している『社内誌白書2011』には次のようなコンテンツの具体例が掲載されています(図表(3))。
グローバル社内報に必要なコンテンツは大きく分けて3つあります。
【1】ガバナンスの統一コンテンツ
経営理念やビジョンの共有や浸透を目的としたものです。具体的にはトップメッセージであり、経営理念を取り扱った企画がこれに該当します。海外現地従業員の情報理解力や関心を考慮し、日本語版社内報からそのまま翻訳するだけではなく、海外現地の事例を取り上げるなど、親近感を持ってもらうように加工すると良いでしょう。
【2】会社を知るコンテンツ
自社のニュース記事ですが、国内外すべてのニュースを掲載するのではなく、海外拠点にも影響のあるニュースを抜粋して掲載します。新製品・新サービス情報、展示会など。CSR活動は自社への誇りとなり、ロイヤリティーを高める効果も期待できます。ニュース記事の並びも考慮します。ある会社では、日本語版社内報と全く異なる体裁の英語版と中国版の社内報があり、ともに表2にはトップメッセージ。3ページ目から、英語版は欧米のニュースが大きく前に掲載し、中国版はアジアのニュースが大きく前に掲載してあります。関心が高いものから順に掲載されています。
【3】現地を知ってもらうコンテンツ
これは、海外現地従業員に登場してもらう企画です。外国人は日本人以上に掲載されることに協力的ですし、掲載されると大変喜びます。海外でのニュースのほかに、海外グループ会社をお国柄含めて紹介するなどして、その国のことも知ってもらう企画がよいでしょう。翻訳して日本語版社内報にも掲載することができます。
(執筆:ナナ総合コミュニケーション研究所)