月刊総務プラス

『月刊総務』本誌記事:

総務パーソンが押さえておきたい11月のトピックス

2020-10-27 09:37

2020. November

■法務

執筆/小沢・秋山法律事務所 弁護士 香月裕爾


●もし従業員が新型コロナウイルスに罹り患かんしたら

 新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない中、多くの企業において、いつ従業員の感染が確認されてもおかしくない状況にあります。それでは、従業員の感染がPCR検査等で明らかになった場合、企業はどうすべきでしょうか。
 保健所は、感染確認者の近時の行動歴などから濃厚接触者を特定し、濃厚接触者は2週間程度の自宅待機が命じられます。企業は、保健所の行う調査に協力し、事務所の見取り図等を保健所に提出するなどして調査に協力することになります。もちろん、感染確認者が勤務していた部署の消毒なども必要になります。
 従業員に感染が確認された場合、当該事実の公表を企業に強制する法令等はありませんが、ステークホルダーが多い上場会社では、公表をすべきでしょう。上場会社の社会的責任と公共的使命を果たすべきだからです。ただし、個人情報保護法上、個人の病歴は要配慮個人情報のため、本人を特定・識別できる事項を公表することはできません。本人が勤務している場所(営業所等)と性別や年代を示す程度になるでしょう。また、感染確認者だけでなく、感染防止対策を十分に行っていることも公表すべきです。
 他方、非公開の中小・零細企業では、必ずしも公表をする必要はありません。ただし、他の従業員への感染を繰り返さないため社内には告知すべきです。もちろん、この場合も本人を特定できる情報は告知すべきではありません。

■労務

執筆/斉藤社労士事務所 特定社労士 斉藤貴久


●地域別最低賃金の引き上げ状況

 2020年8月21日、厚生労働省は今年度の地域別最低賃金の答申の状況について公表しました。最低賃金は、厚生労働省の中央最低賃金審議会が目安額を示し、その後、地方最低賃金審議会の答申を踏まえ、都道府県労働局長が決定するものです。すでに、今年度の中央最低賃金審議会による目安額の提示は、新型コロナウイルス感染症による影響等を踏まえた結果、見送られており、最低賃金の引き上げは困難との見方が広がっていました。
 各地方最低賃金審議会の答申によると、東京都を含めた7都道府県は引き上げを見送り、その他の県では1円から3円引き上げられ、10月8日までに順次発効される見込みです。かねてから大都市圏と地方の格差が問題視されていたことで、これを少しでも近づける試みがなされたと見ることができます。


●安全衛生委員会の遠隔会議

 2020年8月27日、厚生労働省は情報通信機器などを利用した安全衛生委員会等の開催を可能とする通達を発出しました。そのためには、情報通信機器について次の3つの要件を満たす必要があります。(1)参加者が容易に利用できること、(2)送受信が常時安定していること、(3)不正アクセス防止の措置が講じられていること。テレワークを実施する会社が散見される現状では、検討の価値があると思われます。

■税務

執筆/税理士法人AKJパートナーズ


●電子帳簿保存法の改正

 2020年10月1日より、電子取引に係る電磁的記録の保存要件が緩和されました。これまで、電子請求書等を電磁的記録として保存する場合、受領者側のタイムスタンプ付与、または改ざん防止等のための事務処理規程の作成・運用が要件となっていましたが、タイムスタンプを発行者側で付与していれば、受領者側での付与は不要となります。また、受領した電子データを、受領者が訂正または削除できない外部システムやサービス等を利用し、保存していれば、タイムスタンプや事務処理規程がなくとも、電磁的記録の保存が認められることとなります。
 電子取引に係る電磁的記録の保存は、税務署への承認申請が不要ですので、この要件緩和により制度利用が容易となります。


●企業版ふるさと納税制度の改正

 2020年度税制改正により、企業版ふるさと納税制度の延長および税額控除割合の引き上げ、手続きの簡素化等の見直しがなされました。寄付金額に対し、損金算入による軽減効果約3割(実効税率分)に、税額控除6割(現行は3割)を加えた最大約9割(現行は最大約6割)の税の軽減効果が得られることとなります。
 改正後も約1割(現行は約4割)の企業負担はありますが、手続きの簡素化に加え、企業のイメージアップや社会的責任の観点からも、制度活用について検討の幅が広がります。


『月刊総務』2020年11月号P7より転載