月刊総務プラス

『月刊総務』本誌記事:

総務パーソンが押さえておきたい3月のトピックス

2017-02-09 11:20

2017. March

■法務

執筆/小沢・秋山法律事務所 弁護士 香月裕爾

●事業実体のない会社への信用保証の有効性

 昨年12月19日、最高裁より、銀行の中小企業に対する融資後、その企業が事業実体のない会社であると判明したX県信用保証協会による信用保証契約が有効との判決が出されました。
 本件は2009年1月、Y銀行がA社に対し、5,000万円の融資を実行し、当該融資を主債務としてX県信用保証協会が保証。A社は翌年に破産手続き開始の申し立てをしたため、Y銀行がX県信用保証協会から4,900万円余りの代位弁済を受けました。ところが、A社は融資前に他社に事業譲渡をしており、融資時に事業実体がなかったと判明したのです。そこでX県信用保証協会が原告となり、Y銀行を被告として、前記代位弁済に係る金額につき、不当利得返還請求訴訟を提起しました。
 争点は、保証協会と銀行との間の保証契約が錯誤によって無効か否かです。第一審と控訴審では、保証協会の錯誤を認め、不当利得返還請求を認容しましたが、最高裁はこの判断を覆し、保証協会の請求を棄却しました。その理由は、法的には係る錯誤は動機の錯誤であり、動機が表示され契約内容となった場合に無効とされるところ、本件では実体なき会社の保証をしないとの契約内容ではないとしました。このような場合、一律に保証契約を無効とすれば、金融機関が中小企業への融資を躊躇(ちゅうちょ)することになり、中小企業の信用力補完という信用保証協会の目的に反する事態になりかねない点が問題です。
 

■労務

執筆/斉藤社労士事務所 特定社労士 斉藤貴久

●2歳までの育児休業延長

 労働政策審議会が、育児・介護休業法の改正に関する建議を行いました。現行法では、原則として子が1歳に達するまでの育児休業期間について、保育所に入れない場合などの理由があるときに、1歳6か月まで延長することができます。建議では、この育児休業期間の延長を2歳までに改めるとしています。
 保育園の増設で解決すべき待機児童の問題が、育児休業期間の延長という形で現れたことには批判もあり、改正育児・介護休業法が本年1月1日から施行されたことも考えると、この混乱の影響は小さくはないといえそうです。厚生労働省では、この建議を踏まえて国会への法案提出に向け準備を進めていくようです。
 

●同一労働同一賃金ガイドライン案

 昨年12月20日の働き方改革実現会議の第5回会合で、「同一労働同一賃金ガイドライン案」が提示されました。
 正社員と非正規労働者の不合理な待遇格差の解消を目的として策定されたもので、どのような格差が不合理で、または不合理でないかという事例を示しています。すでに、労働契約法やパートタイム労働法では、非正規労働者に対する不合理な差別を禁止しており、本ガイドライン案はこれらを進める一歩というべきものですが、会議の参加者の意見が完全に一致してはおらず、今後紆余曲折することが予想されます。
 

■税務

執筆/税理士法人AKJパートナーズ

●消費税に係る特定仕入の内外判定基準の見直し

 国外事業者から受けた「事業者向け電気通信利用役務の提供( 特定仕入)」に係る消費税の内外判定基準について、国内事業者が国外事務所等で受ける特定仕入のうち、国外で行う資産の譲渡等にのみ要するものは「国外取引」、国外事業者が日本国内に有する恒久的施設で受ける特定仕入のうち、国内で行う資産の譲渡等に要するものは、「国内取引」とされました。本改正は2017年1月1日以後行う特定仕入から適用されます。
 

●加算税制度の見直し

 調査の事前通知以後、その調査による更正、決定を予知する前に行った修正申告について、過少申告加算税が5%(期限内申告税額と50万円のいずれか多い額を超える部分は10%)とされ、期限後申告(その修正申告を含む)に基づく無申告加算税については10%(納付税額が50万円超の部分は15%)とされます。また更正予知による期限後申告等を行った場合の無申告加算税・重加算税について、その日の前日から起算して5年前の日までの間に、その期限後申告等に係る税目について更正予知による無申告加算税・重加算税を課されていたときは、それぞれの10%が加算されます。
 上記は法定申告期限が2017年1月1日以後の国税につき適用されます。
 
 
『月刊総務』2017年3月号P7より転載