月刊総務プラス

『月刊総務』本誌記事:

総務パーソンが押さえておきたい7月のトピックス

2017-06-12 10:44

2017.July

■法務

執筆/小沢・秋山法律事務所 弁護士 香月裕爾

●企業内弁護士の効用
 最近、企業内弁護士が増加しています。企業内弁護士とは、法律事務所に所属するのではなく、企業の従業員として稼働する弁護士です。
 日本組織内弁護士協会の統計資料によれば、2016年6月現在で1707人が企業内弁護士とされ、この数は日本全体の弁護士数の4.5%に当たります。増加の背景には、(1)弁護士の急増に既存の法律事務所が対応できないこと、(2)労働条件や福利厚生が充実していることなどが挙げられます。法律事務所の弁護士は労働法が適用される労働者ではないため、労働時間や休日等の規制もなく、顧客のニーズがあれば24時間でも稼働せざるを得ません。産休や育休も思うようにとれないことから、特に女性の司法試験合格者は、企業内弁護士を目指す方が多いようです。
 企業内弁護士の登用は、企業にとっても効用があります。外部の弁護士は法律の専門家であるものの、企業の事業については専門的知識がないことが多いと思われます。企業内弁護士は、企業の内部でその事業等に精通しているため、法的な知識を事業モデルに当てはめて、問題点を解決できます。また、企業内弁護士が外部の弁護士と意思疎通を図れば、効率的な説明等ができるため手間や時間がかからず、ひいては費用の節約にもなります。さらに、企業の法務参謀として、経営者に法務問題やコンプライアンスに関する助言もできるのです。
 
 

■労務

執筆/斉藤社労士事務所 特定社労士 斉藤貴久

●労基署の臨検(地方労働行政運営方針)
 厚生労働省は、「2017年度地方労働行政運営方針」を公表しました。労働基準監督署の臨検計画は、この方針を基に作成されています。
 方針では重点施策として、時間外・休日労働時間数が「1か月当たり80時間を超えている疑いがある事業場」に対して、引き続き監督指導を徹底する旨が記述されています。特別条項付きの36協定で80時間超の延長時間を設定している場合には特に注意が必要でしょう。
 重大または悪質なものについては、検察庁へ書類送検される可能性があるため、これらに該当しないよう慎重な対応が求められます。なお、今年度も11月が「過重労働解消キャンペーン」期間となりますので、それまでに法定帳簿の整理等を済ませておきたいところです。
 
●産業医への情報提供義務化
 6月1日、労働安全衛生規則が改正され産業医制度に関する見直しが実施されました。改正では、次の2点が注目されます。まず、月100時間超の時間外労働を実施した従業員の氏名や、時間数の情報を産業医へ提供する義務が設定されたことに注意が必要です。次に、産業医に所定の情報を提供した上で、会社の同意があれば、毎月1回以上とされる産業医による事業場の巡視を2か月に1回以上とすることが可能になりましたので、衛生委員会の開催スケジュールなど見直す機会になりそうです。
 

■税務

執筆/税理士法人AKJパートナーズ

●仮想通貨(ビットコイン等)の消費税の取扱い
 従来、仮想通貨は譲渡時に消費税が課税されていましたが、2017年度税制改正により、「支払手段の譲渡」として認識され、消費税が非課税となりました。2017年7月1日以後に国内において事業者が行う資産の譲渡等および課税仕入れに関し、適用されます。
 
●法定相続情報証明制度について
 相続にかかわる不動産登記を促進するため、法定相続情報証明制度が創設されました。2017年5月29日から運用開始され、申請により、全国の登記所(法務局)で「認証文付き法定相続情報一覧図の写し」の交付を無料で受けることができます。不動産の登記名義人(所有者)が死亡した場合、所有権の移転登記(相続登記)が必要ですが、近時、相続登記が未了のまま放置されている不動産が増加し、所有者不明土地問題や空き家問題の一因となっていることが本制度創設の背景にあります。本制度により交付された本写しが相続登記の申請手続きをはじめ、被相続人の預金の払い戻し等、さまざまな相続手続きに利用されることで、相続人・行政担当者の負担軽減が期待されます。相続人が登記所に必要書類(被相続人が生まれてから亡くなるまでの戸籍関係の書類等とこれに基づく法定相続情報一覧図)を提出し、登記官が内容確認の上、交付する流れとなります。
 
『月刊総務』2017年7月号P7より転載