月刊総務プラス

『月刊総務』本誌記事:

総務パーソンが押さえておきたい9月のトピックス

2017-08-25 10:20

2017. September

■法務

執筆/小沢・秋山法律事務所 弁護士 香月裕爾

●民法の改正

 本年5月26日、参議院において民法の一部を改正する法律案(以下「改正法」)が賛成多数で可決成立し、6月2日に公布されました。施行は、東京オリンピック・パラリンピックの年の1月1日または4月1日となりそうです。今回の改正は、総則と債権に関するものですが、明治時代に現行民法が施行されてから初めての改正であり、民法が国民の経済活動や私生活にもっとも密接に関連していることから、企業活動にも大きな影響を与えると予想できます。
 たとえば、民事法定利率が現行の年5%の固定利率から変動利率へ変更されています。バブル崩壊後のデフレ局面において、貸出金利も預金金利も超低金利であるにもかかわらず、民事法定利率が年5%の高利率では、経済状況の実態に適合しないからです。
 そこで改正法は、利息を生ずべき債権について特約なき限り、その利息が生じた最初の時点における法定利率が適用されるとしています。また、改正法施行時の法定利率を年3%と定め、法定利率が3年を一期として、法廷利率の変動の規定によって変動するとしています。法定利率の変動とは、過去5年間の銀行の平均利率から割り出された「基準割合」と直近変動期(直近変動期がなければ、施行時の3%)の「基準割合」の差が1%を超える場合には、直近変動期の法定利率に加算または減算して変更されるとしています。
 

■労務

執筆/斉藤社労士事務所 特定社労士 斉藤貴久

●障害者雇用率2.3%へ引き上げ

 改正障害者雇用促進法により、障害者雇用率の算定式に精神障害者を新たに加えることが決まっています。今般、労働政策審議会は「障害者雇用率について(案)」を「おおむね妥当」とした障害者雇用分科会の報告を了承し厚生労働大臣に答申しました。これにより、実際に引き上げられる障害者雇用率を確認できるようになりました。最終決定ではないものの民間企業の障害者雇用率は現行の2.0%から、2018年4月1日に2.2%、その後3年を経過するまでに2.3%へ段階的に引き上げられることになります。

 

●「いじめ・嫌がらせ」がトップ

 6月16日、厚生労働省は昨年度の「個別労働紛争解決制度の施行状況」を公表しました。これによると、相談件数は9年連続で100万件を超え高止まりの状況です。相談内容では、「いじめ・嫌がらせ」が5年連続でトップになっています。また、会社と従業員の和解を取り持つあっせん申請は、5,000件を超えており前年度比7.3%の増加です。あっせん申請においても「いじめ・嫌がらせ」が3年連続でトップになっており注目されるところです。
 厚生労働省は、ワンストップ・サービスを標榜し、労働基準監督署等に総合労働相談コーナーを設置していますので、従業員に“駆け込まれない”労務管理が求められるでしょう。
 

■税務

執筆/税理士法人AKJパートナーズ

●社内飲食費の交際費損金不算入の取り扱い

 交際費のうち、飲食費についてはその50%相当額が損金算入可能とされています。ただし、この飲食費には「社内飲食費を含まない」とされており、この場合の社内とは「専ら当該法人の役員若しくは従業員又はこれらの親族」と規定されるため、これらの者に対して支出した飲食費については、損金不算入となります。
 

●海外転勤者に関する税務の留意点

 給与所得のみを有する従業員が、海外支店等に1年以上の予定で赴任する場合は、現勤務先である日本法人は、出国のときまでに年末調整を行う必要があります。日本法人がその者に対し、国外勤務にかかわる対価として支給した給与は、通常では所得税の源泉徴収は不要ですが、その者が日本法人の役員の場合には、源泉徴収が必要となります。
 なお、給与は本来、現地に勤務している法人で全額負担するのが原則であり、その一部を日本法人が負担した場合には、その負担額につき寄付金として取り扱われる可能性がありますが、その負担理由が給与条件の較差を補塡(ほてん)するためのものであるときは、寄付金に該当しないこととされています。
 一方で、日本法人で負担した給与等であっても、赴任先の国で、その者にかかわる給与等として課税対象となり得るので、赴任先での税務上の取り扱いにも留意が必要です。
 
 
『月刊総務』2017年9月号P7より転載