月刊総務プラス

『月刊総務』本誌記事:

在宅勤務の注意点

2020-04-08 09:05

新型コロナウイルスの感染防止および小中学校の臨時休校等により出勤できなくなった子育て中の社員への対応として、在宅勤務を実施する企業が多く見られました。
今回在宅勤務が一気に広がった背景には、東京五輪開催期間に向けて実践していた企業が多かったこと、大規模災害の経験からBCPを策定する企業が増えたこと、IT 技術の発達により在宅勤務の環境整備ができたことなどが挙げられます。
本来はきちんとルールを決め、プロセスを踏んで在宅勤務を導入するのが理想的ですが、今回は緊急措置として、とりあえず在宅勤務に切り替えた企業も多いのではないでしょうか。また、準備が間に合わず実施できなかった企業もあるでしょう。
ここでは、在宅勤務の導入にあたって労務管理上注意すべき点を解説します。

労働時間の管理

 在宅勤務を導入する際に大切なのが、労働時間の管理をどうするかという点です。上司の目が届かないため、始業時刻から終業時刻まで本当に働いているかわからないという不安から、「みなし労働時間制」にしたいと考える企業も多いようです。条件を満たせば在宅勤務時に「事業場外みなし労働時間制」を適用することは可能です。
 しかし在宅勤務の場合、本人に労働時間管理を任せると長時間労働に陥りやすいことが指摘されています。社員の健康面を考えると、始業時刻と終業時刻を守ってもらい、通常通りの労働時間管理とした方が安全です。
 メールやチャット、スケジュール管理ツールなどを使って、こまめに進捗状況を報告するようにすれば、十分に通常の労働時間管理が可能です。

子供の世話をしながら在宅勤務は可能か

 子育て支援として在宅勤務を導入する企業も増えていますが、実際のところ、自宅で乳幼児の世話をしながら働くことは困難です。在宅勤務であっても子供を保育園に預け、始業・終業時刻を守って働いてもらう方がよいでしょう。
 ただし、今回のような非常事態は仕方ありません。保育園や小学校が休みになるため子供の世話をしながら働かざるを得ない社員については、どの程度仕事が可能なのかようすを見て、仕事量や勤務時間、労働間管理について柔軟に対応する必要があるでしょう。

給与・評価

 在宅勤務中であっても給与や評価は原則として変えるべきではないでしょう。通勤手当は在宅勤務の頻度によって定期・実費のどちらで支払うのか決めておきます。

費用負担・作業環境

 社員に作業用品等を負担させる場合は、就業規則にその旨を定めておかなければなりません。何をどちらが負担するのか明確なルールを作っておきましょう。たとえば図表のようなものが考えられます。
 そのほか、在宅勤務の頻度が高い人については作業環境の整備も重要です。特に椅子は肩凝りや腰痛に大きく影響します。背もたれがあり、高さ調節が可能な椅子が望ましいことなどをアナウンスしておくとよいでしょう。

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岡田良則 岡田人事労務管理事務所 所長、(株)ワーク・アビリティ 代表取締役

企業の就業規則の作成、人事制度の構築などのコンサルティングのほか、労務情報の提供事業などを行う。著書に『人材派遣のことならこの1冊』『就業規則と人事・労務の社内規程集』(ともに自由国民社)ほか。