総務のトピックス

【会計トピックス】:

会計に強い社員を作るために最低限知っておきたい決算書の読み方

2016-09-30 17:07

 決算書には、会社の経営活動の内容やその結果に関する情報が包括的に表現されています。決算書を正しく読み取ることができれば、会社の経営状態がおのずと見えてくることのみならず、今後の経営判断にも大いに役立ちます。

 本稿では、決算書の意味と目的、わが国の各法令に基づく決算書それぞれの相違及び決算書の内容についてみていきます。


決算書の意味と目的

 決算書とは、貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書などの財務書類のことをいいます。
決算書は、会社内外で様々な目的で利用されます。例えば、会社内部の利用目的として、経営判断や経営管理のために決算書が利用されます。また、会社外部の利用目的として、税務申告や投資家に対する情報開示、また、金融機関から融資を受けるときにも決算書が利用されます。このような目的に応じて決算書の内容も変わります。

法令に基づく決算書の相違

 わが国の法令によって求められる決算書はそれぞれ異なります(下表)。

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 決算書は、法令によって目的も名称も異なっています。金融商品取引法上の「財務諸表」は、投資家を保護するために作成されます。投資家は財務諸表を投資情報として利用し、株式を購入したり売却するかどうかの判断をします。また、会社法上の「計算書類」は、株主や債権者を保護するために作成され、株主総会で決算承認された後、決算公告として貸借対照表(会社法上の大会社は損益計算書も)が官報や新聞広告、会社のホームページなどに掲載されます。計算書類は、財務諸表と同じような情報がまとめられています。さらに、法人税法上は、法人税の計算のために用いた株主総会の承認済みの計算書類とその勘定科目内訳明細書が確定申告書に添付されます。

決算書の内容

 決算書の主なものには「貸借対照表」、「損益計算書及び包括利益計算書」及び「キャッシュ・フロー計算書」の3つがあります。

(1) 貸借対照表

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 貸借対照表は、決算日における会社の財政状態を示します。バランスシート(B/S)とも呼ばれ、資産・負債・純資産によって構成されます。

 資産の部では会社がどのように資金を運用したのかを示し、流動資産と固定資産に区分されます。流動資産は、売掛金・棚卸資産・前払費用など営業に関わる債権や一年以内に現金化・費用化されるものです。固定資産は、建物や土地・長期前払費用など主に一年超にわたり使用したり費用化されるものです。また、負債の部では会社がどのように資金を調達したのかを示し、流動負債と固定負債に区分されます。流動負債は、買掛金や未払金など営業に関する債務や一年以内に返済期限が到来するものです。固定負債は、長期借入金・社債など主に一年を超えて返済期限が到来するものです。
 
 資産から負債を差し引いた純資産は、返済不要な資本(自己資本)となります。純資産比率(純資産/総資産×100%)が高ければ高いほど財務安全性が高いとされます。

(2) 損益計算書

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 損益計算書は、1事業年度(通常は決算日までの1年間)の収益と原価・費用、その差額としての利益(または損失)を表します。売上高から売上原価、販売費及び一般管理費、その他損益を加減算して当期純利益が計算されます。なお、連結財務諸表作成会社は、連結財務諸表で包括利益を表示することが求められているため、包括利益計算書を作成する必要があります。包括利益は、当期純利益に加えてその他の包括利益(その他有価証券評価差額金、繰延ヘッジ損益、外貨換算調整勘定などの変動額)が含まれます。

 当年度を含め過年度の損益金額や利益率の推移分析を行うことで、過去の会社の損益動向を把握することができ、今後の事業展開の検討にも役立てることができます。さらに、同業他社の財務数値や同業種の業界標準の数値を用いて比較することができればより有用な分析が可能となります。

(3) キャッシュ・フロー計算書

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 キャッシュ・フロー計算書は、1事業年度のお金の流れを表し、営業活動によるキャッシュ・フロー、投資活動によるキャッシュ・フロー及び財務活動によるキャッシュ・フローの3つに区分して表示されます。会社の本業、投資関連の取得や売却、資金の借入や返済・社債の発行や償還などによるお金の増減を示します。

最後に

 上場会社の場合には、決算書の入手は容易です。ほとんどの上場会社では、会社のホームページに「IR(Investor Relation)情報」や「投資家の皆様へ」といったリンクから決算書情報を入手することができます。また、金融庁の「EDINET」によっても決算書類がデータベース化されているため、財務諸表等の開示情報を閲覧することができます。しかし、非上場会社の場合には、決算公告等の開示義務はあるものの実際に閲覧できる情報は限られています。ただし、会社の取引先や金融機関などから決算書の提出を求められることはあります。

 社員が決算書への理解を深め、会社の財政状態や業績動向を把握できるようになることで、会社の経営状況をより身近に感じ、仕事への意識・意欲も向上することが期待できると思われます。


連載協力:税理士法人AKJパートナーズ
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