総務のトピックス

【税務トピックス】:

役員給与の取り扱いについて
== 過大役員報酬と過大役員退職給与 ==

2016-11-16 11:34

 ある泡盛の酒造会社【原告】につき、役員4名に支給した役員報酬ないし役員給与【論点1】及び代表取締役を退任した者に対して支給した退職給与【論点2】について、いずれも不相当に高額な部分があり、当該金額は損金の額に算入されないとして法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分を受けたことについて、当該役員報酬ないし役員給与及び退職給与の支給額はいずれも適正であるとして、原処分の取消しを求める事案につき、地方裁判所の判決が下されました(原告控訴中)。

 原処分庁側は、役員の職務の内容や法人の収益及び使用人に対する給与の支払状況、類似法人の役員報酬等の支給状況に照らし、類似法人の中から更に比較法人を抽出した上、複数の比較法人の役員給与の最高額を抽出し、これらを平均した額を超える部分は、不相当に高額であると主張して、原告の請求を棄却するよう求めていましたが、

【論点1について】
役員報酬については、地方裁判所は、役員らの職務の内容は、酒類の製造及び販売等を目的とする一般的な法人の役員において想定される職務内容を超えているとは認められず、また、原告の収益及びその使用人に対する給与の支給の状況については、各事業年度において、その前に比して売上総利益、営業利益、経常利益はいずれも減少し、使用人に対する給与の状況に変化はないのに、役員給与総額のみが上昇していること、そして、原処分庁において抽出した類似法人の役員給与等の状況等にも照らすと、類似法人の役員給与の最高額を超える部分は、不相当に高額(過大役員報酬)であるとの判断を下し、原告の請求を棄却する一方、

【論点2について】
役員退職給与については、原処分庁は、「功績倍率法により不相当に高額な部分を判断する上で、退職する役員の「最終月額給与」相当額につき、抽出した複数の比較法人それぞれの役員給与の最高額を平均した額を超える部分は不相当に高額である」と主張していたところ、地方裁判所は、「比較法人の平均額については、比較法人間に通常存在する諸要素の差異やその個々の特殊性が捨象され、平準化された数値であると評価することは困難であると言わざるを得ない」と指摘し、その上で、退職した代表取締役の原告における従前の職務の内容等に照らすと、原告の経営や成長等に対する相応の貢献があったというべきであって、その職務の内容等が代表取締役として相応のものであるとはいえない特段の事情があるとは認められないから、比較法人の平均額を超える部分が不相当に高額な部分であるとすることはできないとの判断を下しました。


 法人税法においては、役員報酬のうち、当該役員の職務の内容や法人の収益、使用人に対する給与の支給状況、類似法人の役員給与の支給状況等に照らし、不相当に高額な部分の金額は損金不算入とされることとなっています。

 また、役員退職給与のうち、その法人の業務に従事した期間や退職の事情、類似法人の役員退職給与の支給状況等に照らし、不相当に高額な部分の金額は損金不算入とされることとなっています。

 このように、役員報酬・役員退職給与ともに、過大部分の有無につき「類似法人の支給状況」が判断要素の1つとされていますが、一方で、特に中小企業については上記判例にあるような類似法人に関する情報を正確に入手することは困難であることも少なくなく、こういった原処分庁でなければ入手しえない情報を基に課税処分が行われることに強い抵抗感が無いわけではありません。

 しかし、役員報酬や役員退職給与の金額につき、少なくとも、どのような過程で金額が算定されたのかを議事録等において残し、税務調査において説明ができる状況を作っておくとともに、役員報酬については、会社の売上や営業利益、使用人に対する給与の支給状況等に照らして、定期的に見直す必要はあるものと思われます。

連載協力:税理士法人AKJパートナーズ
    ( http://www.akj-partners.com/