パワハラ防止法施行から1年、各社の対策は 2022年4月の中小企業適用を見据え経団連が調査
月刊総務 編集部
最終更新日:
2021年12月09日
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日本経済団体連合会は12月7日、大企業での職場のハラスメント防止に関する状況や相談内容、実施されている対策の内容などに関するアンケート調査の結果を公表した。
同調査はパワーハラスメント防止措置の義務化などが含まれた改正労働施策総合推進法の大企業に対する施行から1年が経過したことを踏まえ、経団連の会員企業400社を対象に実施されたもの。パワーハラスメント防止措置の義務化などが含まれた改正労働施策総合推進法は、2022年4月から中小企業にも適用される。
ハラスメントの相談、「コミュニケーション不足」「理解不足」が主要因か
同アンケートでは、職場において寄せられたハラスメント等に関する相談状況などを調査。結果として、5年前と比較してパワハラに関する相談は44.0%、セクハラに関する相談は11.5%の企業が増えたと回答しており、大きく分けて「コミュニケーション不足」、「パワハラに関する理解不足」の2つを要因として下記のような相談が増加している。
コミュニケーション不足を起因とする相談の増加
- リモートワークにより、コミュニケーションが希薄化するために起こるすれ違い
- コミュニケーションの不足からお互いの信頼関係が構築されないことにより、上司等の業務上の注意や指導をパワー・ハラスメントと捉え相談するケース
- リモートワークによるコミュニケーション不足を訴える社員の増加
- ハラスメントかどうかの判断が難しい、コミュニケーションの相違が根底にあるとみられる問題の増加
- ハラスメントには至らない、組織内のコミュニケーション不全に起因する相談の増加
パワーハラスメントの理解不足による相談の増加
- マネジメント上の問題をハラスメントとして提起するケース
- ハラスメントというより、従業員間の諍いごとといった内容の相談・訴え
- 指導・指摘、あるいは上司や周囲の言動で、本人の意に沿わないという点のみで、ハラスメントを主張してくるケース
- 上司が業務上必要な注意指導をしたのにも関わらず、「上司からパワハラを受けた」という相談の増加
- パワーハラスメントとまではいかない相談や上司のコミュニケーションスタイルが部下と合わずに相談に至るケース
- パワハラと指摘されてしまうのを恐れ、必要な範囲の厳しい指導が難しいという管理職のジレンマ
- 上司が適切な指導に対して、萎縮する懸念。何かあると部下から「ハラスメントだ」と言われることを恐れるあまり、仕事を抱えてしまう、適切な部下指導が出来ない管理職がいるという声
- 従来とは違う多様な価値観の違いにより、どの程度をハラスメントとするのかそのGapが大きくなりつつある。指導とハラスメントの境界線が線引きしづらい
ハラスメントへの理解不足は「研修」、「eラーニング」で対策 「事案の共有」も
同調査では、各社が実施している取り組み内容についても調査。
まず「ハラスメントへの理解不足」に対する取り組みとしては、ハラスメントに関する集合研修の実施が73.5%と最も多く、次いでeラーニング実施が66.5%、事案等の共有が61.8%の順に実施企業が多い。
具体例としては下記のような内容が挙げられている。
ハラスメントに関する集合研修の実施
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