日本の中間層の「暮らし向き」、実は良くない? 妻の正規雇用は有効でも「生活の質」に課題

月刊総務オンライン編集部
最終更新日:
2025年03月24日

労働政策研究・研修機構(東京都練馬区)は3月19日、国民生活基礎調査の長期データを分析したディスカッションペーパーを公表した。分析では、所得で中間層に分類される世帯であっても、生活水準を反映する「暮らし向き」が必ずしも良好ではないことが明らかになった。妻の正規雇用は暮らし向きの改善に一定の効果があるものの、労働時間の増加は生活の質を損なう可能性があることも示された。

中間層の生活水準、データから見る実態

同機構は国民生活基礎調査の主観的な暮らし向きに関するデータを用い、世帯の経済的ウェルビーイングを検証。1980年代以降の中間層における暮らし向きの推移や、就業形態との関係を多角的に分析した。

OECDの指摘にもあるように、中間層は経済と社会の安定を支える重要な層だが、1980年代以降、その割合は各国で減少傾向にある。日本においても中間層の家計消費への貢献度は下がりつつあり、経済全体への影響力が弱まりつつあることが示唆されている。

国民生活基礎調査によれば、暮らし向きが「普通」以上と答えた世帯の割合は1980年代に上昇したが、1990年代以降は低下傾向に転じた。物価上昇の影響もあり、2022年から2023年にかけては再び落ち込んでいる。

所得グループ別に見た、消費支出額の割合の推移(「国民生活基礎調査」個票データより計算。※5月の世帯員全員の支出額の合計額に基づき計算)

特に現役世代の中間層で、生活の厳しさが顕著に

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