厚労省が健康保持増進指針を改定 がんや女性の不調予防、検診勧奨など「二次予防」も明記
厚生労働省は10月19日、「事業場における労働者の健康保持増進のための指針」に関する公示(健康保持増進のための指針公示第13号)を行った。同指針は、労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)第70条の2第1項の規定に基づくものであり、今回の改正では、がんや女性特有の健康課題などへの対応、がん検診などの受診勧奨や治療と就業の両立支援、一次予防に加え二次予防にも取り組む考え方などが新たに明記されている。
以下、事業場における労働者の健康保持増進のための指針 新旧対照表に基づき、変更点の一部を抜粋し、該当箇所に下線を付して紹介する。
趣旨
近年の高年齢労働者の増加、急速な技術革新の進展等の社会経済情勢の変化、労働者の就業意識や働き方の変化、業務の質的変化等に伴い、定期健康診断の有所見率が増加傾向にあるとともに、心疾患及び脳血管疾患の誘因となるメタボリックシンドロームが強く疑われる者とその予備群は、男性の約2人に1人、女性の約5人に1人の割合に達している。また、がんは、我が国において死因の第1位であり、年間約4人に1人ががんで亡くなっているほか、生涯のうちに約2人に1人が罹患すると推計されている。さらに、仕事に関して強い不安やストレスを感じている労働者の割合が高い水準で推移している。
このような労働者の心身の健康問題に対処するためには、早い段階から心身の両面について健康教育等の予防対策に取り組むことが重要であることから、事業場において、就業形態にかかわらず全ての労働者を対象として心身両面の総合的な健康の保持増進を図ることが必要である。
また、健康の保持増進は、生活習慣改善等による疾病の発症予防(下「一次予防」という。)を主として取り組むが、健康診断等による疾病の早期発見や早期治療(下「二次予防」という。)を行うことで、さらに、疾病の発症や重症化、疾病による死亡を予防することができる。二次予防については、各事業場の実情に応じて、医療保険者等と連携を図りつつ、創意工夫して進めていくことが適当である。
加えて、事業者が、労働者の健康の保持増進を図るために、健康経営といった労働者の健康保持増進の取組が将来的に収益性を高める投資であることを理解し、健康管理を経営的視点から考えた上で、戦略的に当該取組を実践することは、労働生産性向上の観点からも重要である。
さらに、事業場において健康教育等の労働者の健康の保持増進のための措置が適切かつ有効に実施されるためには、その具体的な実施方法が、事業場において確立していることが必要である。
本指針は、労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)第70条の2第1項の規定に基づき、同法第69条第1項の事業場において事業者が講ずるよう努めるべき労働者の健康の保持増進のための措置(下「健康保持増進措置」という。)が適切かつ有効に実施されるため、当該措置の原則的な実施方法について定めたものである。事業者は、健康保持増進措置の実施に当たっては、本指針に基づき、事業場内の産業保健スタッフ等に加えて、積極的に労働衛生機関、中央労働災害防止協会、スポーツクラブ、医療保険者、地域の医師会や歯科医師会、地方公共団体又は産業保健総合支援センター等の事業場外資源を活用することで、効果的な取組を行うものとする。また、労働者が、自身の健康保持増進につなげていく観点から、事業者は、労働者に対して、デジタルツール等を活用し、生涯にわたる自身の保健医療情報(PHR:Personal Health Record)の把握に努めるよう促すことも考えられる。なお、全ての措置の実施が困難な場合には、可能なものから実施する等、各事業場の実態に即した形で取り組むことが望ましい。
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