部下に嫌われたくない「優しすぎる上司」が増加中 信頼を壊さず指摘するネガティブフィードバック

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働き方改革の影響や、パワハラを気にしすぎるあまり、部下を叱れない「優しすぎる上司」が増加しています。そこで、実践したいのが「ネガティブフィードバック」。このメソッドにより部下との関係性が良好になり、部下が成長していく環境をつくることができます。本稿ではその目的や実践方法などを解説します。
「優しすぎる上司」問題
近年、企業から「フィードバック」、特に「耳の痛いネガティブなフィードバック」に関する相談が増えています。以前は、「厳しくいいすぎてパワハラにならないようにしたい」という方向でしたが、現在は「厳しいことをいえなさすぎる状態を改善したい」という内容が大半です。
実際に管理職研修で「普段、メンバーとのコミュニケーションやフィードバックで困っていること」を討議してもらうと、下記のようなさまざまな「いえない」悩みが出てきます。
- 嫌われるのが怖くて必要なことでもいいにくい
- 若手に注意すると、モチベーションを下げてしまい、辞められないか不安
- 年上部下に対して、少しズレていても曖昧に済ませてしまう
- 何をいってもパワハラといわれそうで過剰にオブラートに包んでしまう
こうした、部下に厳しいことをいえない「優しすぎる上司」が増えているのです。
その背景にはパワハラ防止の義務化やリモートワークの普及によるコミュニケーション不足、若手の離職リスクの増加、年上部下の増加など、さまざまな要因が複合的に絡み合っていることが考えられます。
また、優しすぎて成長に向けたフィードバックが欠如した職場は、最近では「ゆるい職場」「ゆるブラック企業」と呼ばれます。
こうした職場の場合、成長意欲が高い若手ほど、「この会社にいても成長が見込めない」と離職してしまいます。一方でベテラン社員は「何もいわれないから、今のままで定年までやり過ごしたい」と、さらにモチベーションが低下する問題も生じます。
ネガティブフィードバックの必要性
望ましい行動を承認・称賛するポジティブなフィードバックは当然重要ですが、成果や行動にギャップが生じている場合には、ネガティブなフィードバックが必要な場面もあり、両者をスキルとして習得することが組織の成長を促進します(図表1)。
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