中小企業のBCP

中小企業のBCP(3)BCPセミナーの報告事例から(その2)

中小企業家BCP研究会  代表 栗山 章
最終更新日:
2014年08月01日

今回は、前回のコラムでご紹介した、東日本大震災発生当時、ビジネスホテルの社長をなさっていたSさん(現在は顧問)の、「人と体制の把握について」のご報告を受けて、BCPコンサルタントのYさんからいただいたアドバイスをご紹介します。

以下はセミナー当日のYさんのアドバイスの中から、「サプライチェーンについて」をまとめたものです。


Sさんの事例報告にありました、掃除の業者さんがホテルに来られなくなったというお話は、サプライチェーンのお話になります。

事業継続でサプライチェーンのお話になると必ず出てくるのが中越沖地震の際の株式会社リケンの例です。

リケンは自動車部品メーカーで、ここが被災し生産がストップすると、各自動車完成品メーカーが救援に駆けつけ1週間で復旧しました。

従来の部品供給網、いわゆるサプライチェーンは、元請けを頂点にピラミッド型に下請けへと伸びていました。

したがって、下請けであっても重要な部品を担うメーカーの生産がストップすると、できるだけ在庫を減らしている元請けの生産もストップしてしまいます。

リケンはその例だったため、元請けメーカーを挙げての助けで、最短で復旧したというものです。

最近では重要な下請けを各元請が共有する形が増えています。

清掃や洗濯を含め、日々の消耗品的なものを使っている場合、いつもの供給先が使えない時、他にお願いできるところがあるのかということが意外にわからなかったりします。

また、中小企業の場合、複数の供給先が持てず、お付き合いに限りがあったりもします。 リケンの例のように同業他社との協力で供給先を手助け出来るのかといったことも中小企業では難しいとは思いますが、話し合ってみることも大切です。

いざという時、他に代替があるのか、それともないのか、在庫がどのくらいもつのか、今回のビジネスホテルの例では1週間はもったとのことですが、このようなことをあらかじめ確認しておいた方がいいですね。


アドバイスを伺って、日々の供給がストップした時に自社の事業にどのくらいの支障が出るのか、出ないのか、そこを確認することが中小企業のBCPの一歩であると考えました。

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著者プロフィール

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中小企業家BCP研究会  代表
栗山 章

経歴
新潟市出身。
大学進学を機に上京、在学中から世界各国をひとり旅で巡る。南米から帰国後、大手IT企業に就職し、システムエンジニアとして従事。
2002年、アールシーソリューション株式会社を設立、代表取締役に就任。
2005年、セキュリティシステムの開発に携わったことがきっかけで、安心・安全につながるシステムに関心を持つ。防災分野とITとの相性のよさに注目し、緊急地震速報の開発に取り組む。

現在は、利用者400万人となった緊急地震速報「ゆれくるコール」の一層の普及と、この開発で培った通知の技術を応用したサービスの展開に重点を置いて事業に邁進している。


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