働き方改革成功のカギは総務にあり 成功の掟 第十条「就業規則を見直すべし」
テレワーク導入前の準備
テレワークを行う上で就業規則の見直しは重要な項目です。モバイルワークやサテライトオフィス勤務のみの場合は見直しを行わない企業も多いですが、在宅勤務を導入する場合は労災の問題もあり、就業場所に自宅を加えることから始める必要があります。
ほかにも本格導入を進める前には、情報セキュリティに関する制度の見直しや服務規律、緊急時の対応など必要に応じて変更することが望ましいでしょう。
見直すことが望ましい項目
以下にテレワーク導入にあたり、見直すことが望ましい就業規則の項目を示します。
・就業の場所
自宅の明示(労働基準法施行規則第5条2項)
・テレワーク勤務の適正
申請書を作成し、その適正(入社3年以上の者、テレワークにより生産性が上がる者等)をチェックすることにより適正を判断する場合が多い。
・業績評価・人事管理
会社へ出社する従業員と異なる制度を用いるのであれば、その取り扱い内容を説明しておく必要があります。
・賃金制度
在宅勤務等を行う従業員について、異なる賃金制度を採用する場合には、就業規則の変更手続きが必要となります(労働基準法第89条2号)。
・手当
在宅勤務等を行う労働者に通信費や情報通信機器等の費用負担をさせる場合には、就業規則に規定する必要があります(労働基準法第89条5号)。通信については家族で使用しているなど、私用でも使用している場合がほとんどのため、企業側が負担することは少ないのですが、企業が負担する場合には8時間労働と換算し、3分の1を負担することが多いようです。
・通勤費
週2日までの在宅勤務では定期代をそのままにしている場合がほとんどですが、週3日以上在宅勤務をする場合には定期券を解約して、実費精算にする企業もあります。その場合には就業規則に規定する必要があります。
・社内教育
在宅勤務等を行う労働者や管理職を対象としたテレワーク用の研修制度がある場合にも、就業規則の変更手続きが必要となります(労働基準法第89条7号)
・労務管理
賃金に直接影響するため、労使で合意をし、就業規則に定めることが必要となります。直行直帰のモバイルワークやサテライトオフィス勤務の場合と、在宅勤務の場合では把握の仕方が異なり、フレックスタイム制や裁量労働制、事業場外みなし労働時間制(労働基準法第38条の2)などの勤務形態によっても変わってきます。
特に在宅勤務の場合には深夜労働や休日労働ができてしまう環境にあるため、基本的に禁止し、やむを得ず勤務する場合には上司の許可を得ることを就業規則に定めておく必要があります。
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