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パワハラ防止法(1)その条文、趣旨、対象

2021年05月31日

 世間では、「パワハラ防止法」の施行が話題になっています。これはどのような法律なのか見ていきましょう。

■パワハラ防止法の条文、趣旨

 1966年7月21日に、雇用対策法という法律が公布され(昭和41年法律第132号、公布日施行)、その雇用対策法が、「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」(2018年7月6日公布、平成30年法律第71号)により、「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(略称:労働施策総合推進法)」に名称変更されました(公布日施行)。この法律を、通称「パワハラ防止法」といいます。

 そして、このパワハラ防止法が2019年6月5日の公布で改正され(令和元年法律第24号)、第30条の2に以下の規定が設けられました。


事業主は、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。

2 事業主は、労働者が前項の相談を行ったこと又は事業主による当該相談への対応に協力した際に事実を述べたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。
3 厚生労働大臣は、前二項の規定に基づき事業主が講ずべき措置等に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針(以下この条において「指針」という。)を定めるものとする。
4 以下(略)


 このように制定された理由としては、「急速な少子高齢化の進展や社会経済情勢の変化に対応していくためには、多様な労働者がその能力を十分に発揮して活躍できる就業環境を整備することが重要であるとの観点から、いわゆるパワーハラスメントなどのない職場づくりを推進するため」とされています(2019年4月12日開催の第198回国会 衆議院 本会議での根本匠・厚生労働大臣の発言より)。

■中小企業の要件

 この規定は、大企業に対しては2020年6月1日から施行されており、中小企業に対しては2022年4月1日から施行されることになっています。

 ここでいう中小企業とは、以下の(1)〜(3)の要件をすべて満たす企業をいいます。

(1)国、地方公共団体および行政執行法人以外の事業主であって、
(2)資本金の額または出資の総額が、小売業またはサービス業の場合は5,000万円以下、卸売業の場合は1億円以下、それ以外の業種の場合は3億円以下で、
(3)常時使用する労働者の数が、小売業の場合は50人以下、卸売業またはサービス業の場合は100人以下、それ以外の業種の場合は300人以下であるもの

 逆にこの(1)〜(3)の要件のいずれかに該当しない企業は、2020年6月1日からパワハラ防止法第30条の2が適用される大企業ということになります。

 今回は、パワハラ防止法の条文と趣旨、適用される企業見てきました。次回は、パワハラ防止法の要件を見ていきましょう。

高橋 孝治
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