日本企業の競争力強化を目的として、従業員の「職務」に基づいて人事制度を設計・運用することを推奨する、政府のガイドライン。年功序列やメンバーシップ型雇用に依存する従来の制度とは異なり、職務内容を明確に定義し、それに適した人材の配置・評価・報酬決定を行う「ジョブ型雇用」の導入を促している。
ジョブ型人事指針は、2024年8月に内閣官房、経済産業省、厚生労働省の3省庁が共同で発表したものである。主な狙いは、専門知識やスキルを有する人材の活用、若手人材の適材適所への配置、優秀な人材の確保(リテンション)などの課題解決にある。
同指針では、ジョブ型人事制度を導入している20社の事例を紹介するとともに、メンバーシップ型雇用との違いが分かりやすいよう整理されている。
新卒一括採用、終身雇用、年功序列を基本とし、従業員は企業に所属しながら、企業の指示に従ってさまざまな職務に就く。異動や昇進は企業の判断に基づく。
職務内容を事前に明確に定め、その職務に必要なスキルや経験を持つ人材を採用する。報酬は職務の難易度や責任に応じて決定され、異動も原則として同一職務の範囲内で行われる。専門性を高めるスペシャリスト型のキャリア形成を支援する制度である。