アウトソーシング:シェアードサービス

最終更新日:2025年04月30日

シェアードサービスとは、複数の組織で個別に行われている間接業務を一箇所に集約し、その組織を独立採算制のもとで運営することで、グループ内各組織(顧客)に対して標準化されたサービスを提供する企業変革の手法である。

ここでいう間接業務とは、売上の直接拡大を目的とする現業部門を支援する業務を指し、具体的には以下のような業務が対象となる。

  • 経理部門における経費処理業務
  • 総務部門における福利厚生業務
  • 人事部門における給与計算業務
  • 情報システム部門におけるITの運用・管理業務 など

これらの業務は、企業活動を維持するために不可欠ではあるものの、内容が定型化されていることが多く、効率化・標準化の余地が大きいとされる。

桜美林大学教授・坂田淳一氏によると、近年、企業経営においては、間接部門のコスト削減や生産性向上が強く求められるようになっており、こうした要請に応える手段としてシェアードサービスの導入が急速に拡大しているという。

特に、バブル崩壊後の日本企業では、製造・物流・販売といった現業部門の効率化が一段落し、次のステップとして総務、財務、人事といった間接部門の業務改革に関心が移ったことが、シェアードサービス普及の背景にある。

さらに、1997年の独占禁止法改正による純粋持株会社設立の容認、ならびに1990年代以降のIT技術の進展が、企業グループ全体の業務最適化と組織再編を後押しし、シェアードサービス導入を促進した。坂田氏は、こうした複合的な要因により、日本企業においても2000年前後からシェアードサービスが積極的に導入されるようになったと整理している。

参考:坂田淳一、「情報システムを活用したシェアードサービス子会社の実際と課題に係る研究」 桜美林大学産業研究所年報

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