事故予防策:労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS)

最終更新日:2025年09月01日

労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS:Occupational Safety and Health Management System)とは、事業者が労働者の協力のもと、「計画(Plan)-実施(Do)-評価(Check)-改善(Act)」というPDCAサイクルに基づいて、自主的かつ継続的に労働安全衛生の管理を行う仕組みである。

その目的は以下の通りである。

  • 労働災害の防止
  • 労働者の健康増進
  • 快適な職場環境の形成
  • 事業場全体の安全衛生水準の向上

国際的にはILO(国際労働機関)により指針が策定されており、日本国内では厚生労働省が平成11年に「労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針(OSHMS指針)」を告示している(労働省告示第53号)。

OSHMSの特徴

(1)PDCAサイクルに基づく自律的なシステム

OSHMSは、PDCAサイクルに沿って安全衛生管理を自律的・継続的に実施するシステムである。従来の日本の安全衛生管理ではあまり見られなかったシステム監査を導入し、チェック機能を強化している。効果的に運用されれば、安全衛生目標の達成を通じて、安全衛生水準がスパイラル的に向上することが期待される。

(2)手順化・明文化・記録化

関係者の役割、責任、権限を明確にし、それらを文書に記録することが求められる。これにより、安全衛生管理のノウハウを組織内で継承できる体制が構築される。文書による手順化と記録の保存は、OSHMSの重要な特徴のひとつである。

(3)危険性・有害性の調査と対応

労働安全衛生法第28条の2に基づき、作業場等の危険性・有害性を調査し、その結果に基づいて必要な措置を講じる手順を定める。これはいわゆるリスクアセスメントの実施と対応を定めたものであり、OSHMSの中心的な構成要素である。

(4)全社的な推進体制

経営トップが安全衛生方針を表明し、各級管理者の任命とその役割・責任・権限を明確にすることで、適正なシステムの運用体制を整備する。また、定期的な見直しにより、経営と安全衛生管理を一体化させ、全社的に安全衛生活動を推進する体制が構築される。

OSHMSの実施手順(厚生労働省指針に基づく)

OSHMSの導入にあたっては、以下の手順に基づいてシステムを構築・運用することが求められる。

  • 安全衛生方針の表明(第5条)
  • 危険性・有害性等の調査と対策の決定(第10条)
  • 安全衛生目標の設定(第11条)
  • 安全衛生計画の策定(第12条)
  • 安全衛生計画の継続的な実施(第13条)
  • 日常的な点検および改善(第15条)
  • システムの監査および見直し(第17条)
  • PDCAサイクルの継続的実施(第18条)

あわせて実施すべき事項:

  • システム要件の手順化・明文化・記録化(第8・9条)
  • 管理体制の整備(第7条)
  • 労働者の意見の反映(第6条)

参考:厚生労働省「職場のあんぜんサイト」

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