事故予防策:安全衛生教育

最終更新日:2025年09月01日

安全衛生教育とは、労働者が業務を遂行するうえで、安全かつ健康に働くことができるよう、必要な知識・技能・意識を身につけさせるために事業者が実施する教育のこと。

労働安全衛生法に基づき、労働者の雇入れ時や作業内容の変更時、また特定の危険・有害業務への従事前などに実施が義務づけられている。

安全衛生教育:主な教育の区分と内容

教育の種類 実施のタイミング・対象 教育内容の概要
雇入れ時等教育 新規採用時、作業内容変更時 機械や原材料の危険性、作業手順、保護具の使用法、応急処置など、業務に必要な安全・衛生知識全般
特別教育 危険・有害な特定業務への従事前 高所作業、刈払機取扱など、法令で指定された業務に対し、専門的な安全衛生教育を実施(修了証の交付が一般的)
職長等教育 作業現場での指導・監督者に任命されたとき 作業計画の立案、リスクアセスメントの実施、労働者への指導方法、安全衛生活動の推進など

安全衛生教育の目的は、単なる法令遵守にとどまらず、組織全体のリスク管理および職場環境の質的向上を図ることにある。

労働災害の未然防止

機械操作ミスや有害物質の誤使用などによる事故を防止し、作業場の安全性を確保する。

労働者の健康保持・職場環境の改善

職業病や過重労働による健康被害を防ぎ、清潔で衛生的な職場づくりに寄与する。

事業者としての法的責任の履行

安全衛生教育を計画的かつ適正に実施することで、万が一の事故発生時においても、法令に準じた対応を取っていたことを示すことができる。

安全衛生教育の法的根拠

安全衛生教育は、労働者の安全と健康を確保するために、労働安全衛生法および労働安全衛生規則に基づき、事業者に対して実施が義務づけられている。

労働安全衛生法 第59条

労働者を雇い入れた際、または作業内容を変更した際には、その業務に必要な安全または衛生の教育を実施しなければならないと規定されている。また、危険または有害な特定業務に従事させる場合には、特別教育の実施も義務となる。

労働安全衛生法 第60条

建設業や製造業などにおいて、作業中の労働者を直接指導・監督する職長などに対し、指導者としての安全衛生教育を行うことが求められている。

労働安全衛生規則 第35条

雇入れ時や作業内容変更時の教育における具体的な教育項目を定めており、業務の性質や事業場の実情に応じた内容とすることが求められている。

これらの法令に基づく教育を怠った場合、事業者は法的責任を問われ、是正指導や罰則の対象となる可能性がある。


参考:厚生労働省「職場のあんぜんサイト」

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