文書には「発生」から「廃棄」に至るライフサイクルが存在する。企業や行政機関の文書管理規則や規定などは、このライフサイクルに沿って章立てされている場合がほとんどだ。
文書のライフサイクルの中で、どの企業も「発生」と「伝達」のステップは重視しているが、「保管」以降のステップになると、とたんに怪しくなるのではないだろうか。本来共有化されるべき文書が自席周りに山積みになっていたり、すでに用済みになった文書が事務所内のキャビネットに入れっぱなしになっているのはよく見かける光景だ。
そして、文書のライフサイクルを確実かつ効率的に管理し、最適化することを「文書情報マネジメント」という。文書のライフサイクルに沿った「文書情報マネジメント」とは、どのようなものだろうか。5つのポイントを見ていこう。
ここでの文書ファイルとは、文書を関連性や連続性によってまとめた単位を意味し、文書情報マネジメントではこれを一単位として取り扱う。あるプロジェクトが進行している最中は、その経過を記述した文書や紙に出力した図面など、プロジェクト進行の効率を考えると紙文書が必要になる。しかし、プロジェクト終了後は最終図面や完了報告書など、紙で残す必要がある文書はごく限られたもののみ。これらを取捨選択して編纂作業をし、紙文書は極力削減することが不可欠だ。
編纂した文書ファイルは、完結した年度ごとの単年度ファイルとする。こうしておくことによって、以降の「保管」「保存」「廃棄」の作業が年度単位の作業になる。
保管場所を移動することを「移し換え」という。この作業は年度が変わった直後に行おう。この作業を行うことで、新年度に発生する文書ファイルを保管する収納スペース確保できる。
アメリカのナレムコ(国際記録管理協議会)の統計によれば、事務員が参照する文書の90%は過去半年以内に作成された文書で、1年以上前に作成された文書を参照する確立は1%以下。このことからも、事務所内に保管する文書ファイルは最長2年あれば十分であると考えらる。
文書ファイルには、法令で保存年限を定められたものがある。商法や会社法、法人税法や労働基準法などで定められているもののほかに、業種ごとにその監督官庁によって定められているものもある。それらを考慮して文書ファイルごとに保存年限を決める必要がある。その上で、同一廃棄年度のものを同一文書保存箱に収納しよう。こうしておけば、廃棄年度が到達したときに文書保存箱ごと廃棄処理ができる。
文書情報マネジメントは、その名のとおりマネジメントシステムである。「PLAN(計画)・DO(実行)・CHECK(監査)・ACTION(改善)」の、いわゆるPDCAサイクルを回すことにほかならない。文書情報マネジメントは一度構築して終了ではなく、常にレベルアップすることが求められる。
(監修:インブルーム株式会社)