「知らせる」ことを狭義の広報と先に記しました。しかし、コミュニケーションを成立させるためには、実は相手のことを知っていることがその前提となります。広報の言葉でそれを「広聴」と呼んでいます。情報の収集、受信です。相手の状況を知り、理解することです。
広報とは、まずはコミュニケートしたい相手のことを知ることからはじまります。情報の収集と情報の発信。広報における情報の流れは図表(4)で示すように、いくつかパターンがあります。
相手の状況を知るにはその相手との接点を持つことが必要です。ネットや書類などからも相手の情報を拾えることはできますが、直に相手と接することのできる場をつくることが最も確実です。
相手の状況が把握できれば、その相手にふさわしいコンテンツを考えることができますし、相手の状況、相手の情報収集作業がイメージできれば、どのようなメディアで情報発信すればいいかが明らかになってきます。
ご家族、友人、そして仕事仲間との間に良好な関係が築かれている場合、そこには良質なコミュニケーションが成立しているはずです。相手のことも十分理解し、自らのことも理解してもらっているという状況が存在します。相手になにかを伝えようとする場合、相手が理解しやすいようなコンテンツで、相手に最も届きやすいメディア、手法で届けようとするはずです。それがあるべきコミュニケーションの姿であり、それを継続していくことが広報本来の姿でしょう。
大切なことは、コミュニケーションは受け手により成立するという事実です。相手に届かないことには、発信側の要求が実現されることはありません。相手に届かなければ、社内広報メディアの役割が達成されることはないでしょう。
(執筆:ナナ総合コミュニケーション研究所)